加藤の乱

今の高校生らが生まれた2000年に起きたのが『加藤の乱』だった。

第二次森内閣への不信任決議案を野党が提出する動きを見せたことに対して、加藤紘一(宏池会会長)とその同志議員が(不信任決議案に)賛成あるいは欠席すると宣言した。これに山崎派も同調した。

当時、衆議院の議席は与党が過半数を31人上回っていたが、衆議院の加藤派と山崎派の合計64人が造反すれば不信任案は可決され、内閣総辞職かあるいは衆議院の解散を余儀なくされる事態となった。

しかし当時の幹事長だった野中広務の動きによって自民党内の引き締めが図られ、加藤の意図は失敗に終わったものの森政権のパワーダウンは避けられず、自民党の世代交代の一因となってYKKと呼ばれた山崎・加藤・小泉の中でただ一人生き残った小泉純一郎の総裁選勝利に結びついて行く。

そもそも加藤派と山崎派は、無投票での再任を目論んでいた小渕恵三の対立候補に出たのであって、小渕の激怒を買っていたが小渕は帰らぬ人となる。

その後、次期総裁をめぐって密室による森総理が誕生したことから加藤・山崎両派閥は敵対する相手を森に据えた。「密室で総理を決めるのは民主主義ではない」と。

こうした話をなぜ今頃になってするのかと言うと、実は先日の安倍内閣の組閣と深く関わっているからだ。

加藤と言えば宏池会であり、宏池会というのはどのような流れで成り立って来たのか。池田派→前尾派→大平派→鈴木派→宮沢派→加藤派、と来たあとで加藤の乱によって二派閥に分裂する。主流派の加藤派→小里派→谷垣派、となると同時に、分裂して堀内派を結成したグループはその後古賀派→岸田派へと発展している。

つまり大平・鈴木・宮沢と総理大臣を輩出して来た宏池会の末裔が岸田現外務大臣であり、怪我で入院中の谷垣前幹事長は加藤派の末裔なのだ。

さらに加藤が不信任案に賛同しようとした森元総理の子飼いが野田聖子であり、野田は小渕内閣当時の郵政大臣だったことから小泉内閣による郵政民営化に反対し自民党を離党している。

その後、第一次安倍内閣において復党が許され、福田内閣で内閣特命担当大臣と国務大臣を兼任。

2015年の自民党総裁選に出馬する意欲を見せ、引退した元幹事長の古賀誠の支援も取り付けたが推薦人が規定数に満たず断念している。

つまり野田は旧派閥のOB人脈を使って党内で登り詰めようとする野心があり、安倍総理からは疎まれている議員だ。その意味では森元総理も面白くない。

野田は次期総裁を目指しているが、総裁任期の延長によって政権安定を図ろうとするグループにはうるさい存在になっている。親中派の二階が幹事長に選ばれたのも、この総裁任期の延長に前向きだからだ。ということは二階と森のスタンスは敵対しているということであり、森内閣に不信任を向けた加藤の乱の再現でもあることになる。

だが森は東京五輪の委員長を務めていて、森が嫌う小池が都知事に就任した。そこで水と油を中和する目的で仕込まれたのが丸川なのだが、この素人議員はほとんど期待すべきものがない。

一方で岸田外務大臣が留任したが、この男は宏池会のボスであって本来で言えば安倍や谷垣とは宿敵のはずだ。昨年の「日韓合意」も安倍首相の本意ではなかったという説もある。

だからこの「加藤の乱」を頭に置きながら今回の組閣を眺めると、実に良く見えて来るものがある。とても「お友達内閣」などと呑気なことを言っている場合ではないということがわかるだろう。

そして、都知事選で大失態を演じた石原家のバカ息子が、なぜ甘利の後をいつまでも引き継ぐのかという疑問も解けて来ることになる。あれだけ甘利がフロマン相手に苦労したTPPだが、アメリカ議会はむしろ自由貿易協定に否定的で、次期大統領がどっちになろうともTPPの行く末は厳しいとの見方が強い。すなわち「どうでも良い席」になる可能性が高いのだ。EUをはじめとして、世界経済は日に日に変化して来ている。むしろバトンをバカ息子に譲った甘利に有利な結果を残す可能性もある。

この愚かな息子は、都知事選に敗れた責任は都連の私ではなく、自民党の谷垣にあると発言して大ひんしゅくを買った。あの発言の真意は、都知事選の責任問題ではなく「加藤派」の残党への攻撃だと見たらどうなるだろう。石原は森の言いなりなのだろうか。

そんな小者が甘利の業績を引き継げるはずがないではないか。

安倍首相の視野には、すでに次期衆議院選挙が入っている。憲法改正するためにも、ここで負けるわけにはゆかないのだ。

ただ一点だけひっかかるものがあるんだが、稲田さんが防衛大臣になったことを好評化する向きがあるのだけれど、そして確かに彼女は有能な人材なんだけど、消費税論議の際に彼女は何と言っていたか。「せめて8%から9%にしてはどうか」と言っていた。あれは完全に財務官僚に取り込まれている発言だった。手放しで歓迎して良いのだろうか。私ははなはだ疑問に思う部分がある。

もし安倍さんのものすごい計算があったとするならば、稲田さんは中国・韓国の『噛ませ犬』になる可能性があって、彼女をぼろぼろにさせる時間稼ぎの裏で安倍流の『日本再生』が進められるのかも知れない。ただし、野田聖子はじっと見ているからね。



北朝鮮がミサイルを撃ち込んで来たように、中国海軍も何をやらかすかわかったものではない。すぐにでも稲田さんの出番が来るだろう。それとも二階の暴走が始まるのだろうか。






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