小麦色の記憶

この季節になると「小麦色」という単語を耳にする機会があるが、いまどきの人はどれだけ小麦畑を見たことがあるだろう。

「小麦色」がどれほどの色なのかを知って使っているだろうか。

私がかつて北海道の帯広で仕事をしていた際に目にした季節の変化はとても刺激的だった。

赴任したのは4月のことで、まだ深い積雪で周囲は真っ白だった。

やがて5月の連休を過ぎると、徐々に雪が融けてゆき前年の刈りあとである枯葉色の大地が姿を見せる。

帯広の周囲はミルクロードと称されるほどの牧草地だったからだ。

6月に入ると遅霜に遭いながらも牧草地にはタンポポが群れるように花を開く。真っ白だった大地が、枯葉色の姿を見せて、やがて一気にタンポポの黄色い絨毯に染まる。

そのタンポポは幾日もしないうちに白い綿毛へと変化する。

一方で、牧草地ではない耕作地では麦の苗が植えられており、耕された黒い大地は数日で新緑に変っていた。

あるいはビートだとか馬鈴薯やニンジンなどが作られた。

九州育ちの私は、そうした風景の色の変化に感動した。

1日1日の窓から見る風景がどんどん変わってゆくのである。

やがて緑一色だった小麦畑が、ある日突然のように黄金色に変り、やがて黄金色から茶褐色へと変化する。

小麦用の大型ハーベスタの出番だ。床屋のバリカンのようにどんどん刈り取って行く。

J・D・サリンジャーが書いた『ライ麦畑でつかまえて』という小説を読んでいた。




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こんばんは

若いころ通り過ぎた帯広は、まさに一面麦畑。
7月でした。
懐かしくなって、写真引っ張り出してきました。
私が見たのは一時の風景。
色彩の変化を追うことができたのは実に羨ましい限りです。

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