朝鮮半島のTHAAD

アメリカが、韓国内にある在韓米軍の基地内にTHAADミサイルを配備すると発表したことで、朝鮮半島は大混乱になっている。

北朝鮮は配備される在韓米軍の基地を攻撃目標とする一方で中国政府も激しい不快感を示している。

そして韓国メディアは、韓国にTHAADが配備されることで最大の恩恵を受けるのは日本だとして、相も変わらず日本攻撃を忘れない。

THAADミサイルを運用する際のXバンドレーダーの情報は韓国が管理して日本へは渡さないとか言っているらしいが、在韓米軍の基地の中に米軍の設備が入るのだから所有権が韓国にあるわけではない。

それを言うのであれば戦時作戦統制権を韓国に渡せと言うのが先だ。



韓国の戦時作戦統制権をおさらいしておこう。

1950年の朝鮮戦争時に、韓国政府は米軍主体の連合軍を派遣してもらうために自軍の作戦の指揮権をマッカーサー国連軍司令官に委譲した。

すなわち「私ひとりでは戦えないので、国連軍の指揮下に入ります」ということになったわけだ。

しかし1988年から発足したノテウ政権の時代に韓国軍への指揮権の返還要求が起きた。つまりノテウは「自分の護りは自分でやる」と言い出したわけだ。

1994年には平時作戦統制権が国連軍から韓国軍へ移管された。

そして2003年から政権についたノムヒョンの時代になって自主国防の機運が高まり、平時だけではなく戦時の作戦統制権も韓国軍へ移管せよとの要求を出した。

こうした流れは、キムデジュン政権から起こった南北会談と太陽政策が深く関わっている。つまり北朝鮮にとってみれば南の国連軍(在韓米軍)は邪魔で仕方がなかったわけであって、出て行かせる方法はないものかと思っていた。

そのために工作活動によって親北政権を立てて米韓同盟にひびを入れさせた。在韓米軍にとってみれば作戦の統制権を韓国が握るということは戦闘状態になった場合に韓国軍の指揮下に入るということであって、それはできない相談だ。指揮権を移管するということはすなわち朝鮮半島から連合軍が撤退してグアムもしくは日本へ移るということを意味している。

折しも北朝鮮が着実にミサイル開発を進めていた頃であって、軍事境界線を守るにしても韓国国内に部隊展開をしても意味がないのではないかという論議がアメリカ国防部でも起きていた。

北の動きは衛星で監視できていて、いざとなったら在日米軍基地から戦闘機なり爆撃機なりを飛ばせば良いわけだ。日本の基地は海自のイージスミサイル護衛艦が守っている。横須賀を母港にしている原子力空母を佐世保に回すというテもある。反米感情が高まっている韓国に兵力を置く意味が減って来ている。

そういった事情を知ってか知らずか、ノムヒョンは指揮権の移管を要求した。さぞやアメリカ国防部は慌てるだろうとでも思ったのかも知れない。

ところがあっさりとアメリカはそれに合意して見せた。「返すよ」と言うことは「出て行くよ」という意味を持っている。

朝鮮半島のためだけに3万人近い兵力を置くことは不合理であって、それにはイラクやアフガニスタンの紛争も絡んでいた。

アメリカはあっちもこっちも睨む必要があるのに、韓国は自国のことしか考えていなかった。

ノムヒョンは親北政策を推し進めてアメリカとの距離を置こうとした。北の工作の成果だ。

ところが韓国政府の野党や国防部を中心にして、米韓の指揮権の移管合意に対して強い批判が出た。

2008年に政権を握ったイミョンバク(ネズミ男)は移管時期の再検討と繰り延べをアメリカに求めた。この流れは現在のパク政権でも同じである。

このことは、日本の沖縄基地の問題と非常に良く似ていて、中国にきわめて近い知事が「米軍出て行け」とノムヒョンと同じ立ち位置にいるわけだ。




では日本にTHAADミサイルは必要なのか。答えはNOだ。

地上配備型のXバンドレーダーそのものはすでに日本国内に配置されていて運用を開始している。123㎡のレーダー面に8万1千個のレーダー素子を並べたフェーズドアレイ型で4000km先の弾道ミサイルを探知する。中国が嫌っているのはミサイルそのものと同時にこのXバンドレーダーなのだ。

だがそれがTHAADではない。

韓国が言っている「情報を共有」するかしないかというのは実はこのレーダーの情報のことであってミサイルシステムはまた別のことだ。知らずに言っているだけだ。

日本の自衛隊はイージス艦にSM3を、陸自にはPAK3がある。THAADミサイルは射程距離が200kmであるのに対してSM3161Bは400kmあり、イージス艦は当然好ましい位置に移動することができる。

日本のXバンドレーダーはゲリラ豪雨などの予報にも活用されていて、天気予報もろくにできない韓国とは比較にならないのである。

防衛省の技術研究本部はFPS-5という独自のXバンド早期警戒用レーダーを開発している。

このフェーズドアレイ技術があればこそ、F-3戦闘機が開発できている。韓国のK-FX(次期主力戦闘機)が開発できないのは独自技術を持たないからである。

そもそも韓国の発想の根本にあるのは、「輸出を増やしていかに外貨を稼ぐか」ということであって、兵器開発も輸出したいがためだ。日本のように「防衛のため」にやっていることではない。

なぜならば首都ソウルには国民の25%の人口が集中していて軍事境界線にあまりにも近い。だから戦争など起きてもらっては困るのだし、国防が必要になる事態は絶対に避けたいのだ。

戦車を作ったり軍艦を建造したりするのは、外国に買ってもらいたいからだ。日本とは発想の根本が違っている。

イージス艦の艦橋にでっかい平面レーダーがあって、あれがフェーズドアレイレーダーなんだけど、ものすごい電気出力を出す。だからレーダーが稼働している際は甲板に乗員が出ることは禁止されている。

それは地上配備型のレーダーも同じで、強い電磁波を出している。当然消費電力も半端じゃない。

安倍政権が原子力発電の再稼働に前向きなのは、そういう事情もあるってこと、知っておいて損はない。

韓国の寝言に構う余裕はどこにもないが、沖縄で起こっていることは朝鮮半島とまったく同じだという認識が必要になる。

そしてパク政権が韓国国民の支持を失いつつあるという意味では、再び親北政権に戻る可能性が高まっているということなのかも知れない。

さあ、ミセス・チャイナマネーの異名を持つ女と、韓国嫌いの男のどっちがアメリカ大統領になるか、それ次第で東アジア情勢は一気に流動化するだろう。



スポンサーサイト
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR