再稼働の代償

福島第一原発事故によって、いろんな原子力関連の情報が流れた。

それまでは日常生活に必要のない知識だとして見過ごされていた情報が、海外メディアもふくめて様々な角度から報道されるようになり、「そうだったのか」と初めて知るようなことが次々とわかって来た。

福島の被災地の汚染状況がどうであるかは、本ブログの不得手とするところなので踏み込まないが、明確にわかっている点だけを重ね合わせてみたい。

先日、参議院選挙がおこなわれたが、それと同じ7月10日に鹿児島県知事選挙もおこなわれたのをご存知だろうか。

ほとんどのメディアが「東京都知事選挙」を連呼していたので、鹿児島県以外の人はほとんど知らないだろうと思うが、現職で4期目を目指す伊藤氏に対し、三反園(みたぞの)氏という新人が挑んだ。

知事職を3期も務めたということは、それだけで莫大な利権にまみれているわけであり、当然のことに自民党と公明党が伊藤氏の支援に付いた。

一方の三反園氏とは元テレビ朝日のニュースキャスターであり報道ステーションの政治担当キャスターも務めた人物だ。民進党と社民党が支援した。

参議院議員になった丸川珠代氏が出演していた「たけしのTVタックル」などにも出ていたことがある。

つまりテレビ朝日の報道局というのは、政治家を狙いたがる土壌があるということなのかも知れない。

さて、この三反園氏が現職候補を破り当選したのは「川内原発」を一時停止させたいといった選挙活動を続けたためだった。

投票率は前回比約13ポイント増で、三反園氏の得票率は55.5%に達している。いかに川内原発の再稼働に地元の有権者が納得していなかったかがうかがえる選挙結果だった。

裏を返せば伊藤知事という人物は独善的で県民の意向を聞くことなく、地元商工会や福岡の九州電力などの意向ばかり受け入れているといった批判が絶えなかった。そうした不満が県民にはたまっていたのかも知れない。「女子にサイン・コサイン・タンジェントを教えて何になる」という迷言を吐いたことで有名になった人物だ。人品怪しすぎる。鹿児島県民の品格に関わる問題だろう。

だが、それはそれとして、現在東京で戦われている知事選で「韓国人学校を白紙にもどす」といった一種の民意迎合が、ここ鹿児島でもおこなわれたのではないかという点。

つまり政治知識はあっても行政経験が白紙状態のキャスター上がりの素人が、原発という発電事業に口を出す以上は、それなりの研究とデータの蓄積がなければならなかったはず。

もし、あまり深い理解は持ち合わせていなかったとするならば、ただ当選したいがための「おべんちゃら」に過ぎないのである。

現在国内で再稼働している原発は川内だけだ。これによって九州電力の収支は抜群に改善して来ている。(もともと石油や石炭などの受け入れ港が南に位置する九州では、他の地域よりも輸送費が低く抑えられていた)

このことで夏場のピーク時電力の問題も九州では騒がれる心配がなく、電気料金の値上げも他の電力会社よりは言い出しにくくなっている。

逆に三反園新知事が川内原発を停止させるならば、九州電力に値上げの口実を与えてしまいかねないのだ。

鹿児島県民が危惧していることは、南九州の火山活動と地震災害であり、それによって事故が起こった場合の避難計画の不備についてだった。

だからそのことは稼働中であれ停止中であれ、条件とすれば同じなのだ。

なぜならば、各原子力発電所では自分で産んだ「使用済み核燃料」は一程度の温度に下がるまで原子炉建屋の中に設置された燃料プールで保管することになっている。

原子炉そのものが稼働しようとするまいと、プールの中には核燃料が入っているわけだ。

福島第一の4号機は定期点検中で原子炉には燃料は入っていなかったがそれでも大爆発を起こしている。

ちなみに各原発の使用済み核燃料貯蔵施設の容量と貯蔵量を見てみる。

余裕があるのは北海道の泊原発。ここは1000t容量の内に400tしか入っていない。60%の空き容量がある。

東通は440t:100t。ここに至っては77%を誇っている。もっとも同じ青森県の六ヶ所村がすさまじいことになっているからあまり安心はできない。

女川が790t:420t。47%だ。

福島第二が1360t:1120t。17.7%。かなり厳しい。

東海第二が440t:370t。16%。満員電車なみ。

浜岡は1740t:1140t。34.5%。まあまあってとこ。

柏崎刈羽は2910t:2380t。18.2%。

志賀は690t:160t。77%でほぼ満点。

敦賀は860t:580t。32.6%。

美浜が680t:390t。42%。

高浜は1730t:1160t。33%。

大飯が2020t:1430t。29%。

島根は600t:390t。35%。

伊方は940t:610t。35%。

玄海が1070t:870t。18.7%。これもかなり厳しい。

最後の薩摩川内は1290t:890t。31%の空き容量。

以上となる(福島第一は2100t:1960tで6.6%)

必ずしも燃料プールのキャパシティだけが問題なのではないが、ひとつの目安にはなるだろう。

こうやって見て来ると、東京電力はほぼ余裕がなく仮に再稼働したとしてもすぐにプールが満杯になって停止せざるを得なくなるだろう。

それに比べれば圧倒的に関西電力の方が余裕がありそうだ。



この「玄海が18.7%で川内が31%」ってところが今回のミソ。

つまり九州電力が玄海よりも川内を優先させた理由のひとつにこれがあるかもしれないっつうこと。

昨日付けの佐賀新聞電子版では「九電社長、玄海再稼働を早期に」という見出しで書いているし、佐賀県知事の山口氏も再稼働には前のめりなのだが、いかんせん使用済み燃料を増やすことは墓場が近くなるということだ。周辺住民が納得すれば容量が増えるというものでもない。

その一方で鹿児島県知事に「反原発」のような人物が登場したので九州電力も慌てているのだろう。

分母(貯蔵容量)は一定なのに分子(貯蔵量)が増加する再稼働は、やがて迎えるXデーにどのような計画を持っているかを明確にしなければならない。

安倍さん、麻生さん、そこんとこヨロシク。



ニュースキャスター上がりの知事ってのは少なくないのだが、有権者がむやみに飛びつくと取り返しのつかない事態に陥る場合もあるということ。

あ、別に垂れ目おばさんのことを言ってるんじゃないよ。








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