熊の話

東北地方をはじめ、全国各地で熊が確認され、死者まででているという。

主に山菜取りなどで山に立ち入った人が襲われるケースが多いというが、「保護しろ」「いや駆除だ」という両論が白熱しているらしい。

オオカミが絶滅した日本では唯一にして最大の猛獣が熊なのだが、感情的な動物保護の意見は、どこか国連の人権委員会に通じるものがあるような気がしている。

何でもかんでも「殺してしまえ」とは言わないが、人間を食糧だと認識し始めているってぇから穏やかではない。




かつての同僚に北海道大学の山岳部にいた男がいた。

彼の話はそんじょそこらでは聞けない面白い話ばかりだった。

山岳部の上級生になると、警察や消防から遭難者救助の手伝いを頼まれたりもするらしい。

だから冬が終わるとトレーニングを兼ねて、山に入ってパトロールをするらしい。

ある日、パトロールで山道を歩いていて、深い谷をはさんだ見晴らしの良い場所に出たんだそうだ。

双眼鏡で向かいの山道を見た。何キロも離れている。

向かいの山道を歩いて下って来る熊の親子を発見した。

「熊だ」

パーティの全員が双眼鏡を覗いた。

「やばい」

山道の下の方から女性の登山者が3人連れで登って来る。

道はくねくねと曲がっていて、上の方が見通せない。

このままだと熊と鉢合わせになってしまう。

「おーい! おーい!」

全員で大声を出したが遠すぎて声が届かない。

人間が熊に襲われる悲惨な光景が目に浮かんだ。

すると、親熊が二本足ですっくと立ちあがり、くんくんと鼻で匂いを嗅ぎ出した。

熊はすぐに道わきの森の中へと姿を消し、子熊もあとを追った。

何分かすると3人連れのハイカーはその位置を通って何も知らないまま登って行った。

「ふう、やばかったな」

彼らが胸を撫で下ろした直後に、双眼鏡を覗き続けていた部員が

「あれを見ろ」

姿を隠した熊が、同じ場所から道へ出て来て下の方へ歩き去ったという。

本当にあった話かどうかは誰も知らない。



皆さん、ご機嫌よう。






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