『護り』とは何か

古くから軍港として栄えた長崎県佐世保市には、アメリカ海軍の基地と海上自衛隊の基地が並んでいる。

『西海の護り』と呼ばれるこの基地には地方総監部佐世保警備隊が置かれ、音楽隊が定期演奏会を開いている。

東シナ海や朝鮮半島に向いたこの港は、九十九島(くじゅうくしま)と呼ばれる複雑な島々に囲まれていて、波が穏やかであると同時に敵からの攻撃に備えるという意味で理想的な軍港になっており、佐世保市民は『海軍さん』と呼んで親しんで来た。

長崎市の港は鶴の首に形が似ていることから『ツルの港』と呼ばれたが、一方の佐世保は柏の葉っぱのような形をしているので『葉港(ようこう)』とも呼ばれた。

葉という漢字を分解すると、草かんむりに世という字と木に分かれる。これをカタカナ読みすると『サ・セ・ホ』となるのである。

佐世保市民は『海軍さん』に馴染んで来たので、たまにアメリカ海軍の関係者が酒に酔ってトラブルを起こしてもあまり大きな騒ぎにはならない。むしろ日本一の長さを誇るとされている『四カ町商店街アーケード』と並行する米兵向けの飲み屋街は、カントリー・ウエスタンやジャズなどで異文化を楽しむにはもってこいの場所になっている。

地理的に原子力空母や原潜なども出入りしているし、強襲揚陸艦のエセックスと交代したボノム・リシャール(満載排水量4万トン、全長257m)が配備されている。

なぜ佐世保を母港とする強襲揚陸艦が配備されるのか。朝鮮半島有事を想定していることは明らかだ。さらに、韓国が進めている済州島の軍港化が完成した場合、共同作戦を執るのかにらみ合いになるのかはわからないものの、佐世保の位置的重要性は一段と高まって来ることになる。

だからなのか佐世保市民は『海軍さん』へのアレルギーはほとんどない。

しかし、軍港があるということは、修理や整備のためのドックが必要になるのであって、そこで働く労働者たちが労組を作り古くから社会党の支持母体になって来た歴史がある。

かつて学生運動が盛んだったころ、この佐世保の町も『エンタープライズ・ゴー・ホーム』と叫ぶヘルメットの群衆であふれたことがあった。

『海軍さんの街』は同時に『革新系の街』でもあったわけだ。だからいまだに原子力空母とかが入港すると、赤い腕章と旗を携えて抗議集会をする一団が港を見下ろす公園に終結する。




しかし佐世保は海軍(海自)だけの土地ではない。海上自衛隊佐世保基地から北西約5kmの位置に、陸上自衛隊西部方面総監直轄部隊である相浦(あいのうら)駐屯地がある。ここは防衛大臣の直轄部隊でもある。

発祥は旧帝国海軍佐世保第二海兵団であり、戦後のアメリカによる接収ののちに返還されたことから大分の別府駐屯地から教育団が移設され、これが発展する形で普通科連隊となった。

2013年には第3教育団が西部方面混成団に改編され、アメリカ海兵隊の指導を受けて上陸訓練をおこなうなどといった離島防衛の強化を図っている。

こうした『西海の護り』は、海自・陸自共同で毎年パレードを開催している。年によったらアメリカ海軍やインド海軍が参加することもある。

上記の四カ町アーケードで演奏会を開く(アーケードの途中にある公園にて)ほかに、陸自の隊員によるパレードがおこなわれる。その際に自動小銃(弾倉なし)を携帯する行為に革新系団体が激しく抗議する。もう毎年のことだ。

『普通の市民生活の場に、武器を見せつけるとは何ごとか』というのがその理由らしいのだが、笑止千万に等しい。

警察官の拳銃は良いのだろうか。




共産党の藤野政策委員長が26日のNHK番組にて、平成28年度予算の中で5兆円を超えた防衛費を指して『人を殺すための予算』と発言しアベノミクスを攻撃した。

それに対して自民党の稲田朋美政調会長は『日本を守るためのものだから、それは言い過ぎだ』と反論。

安倍首相も自身のフェイスブックに『国民を守るために昼夜分かたず汗を流す自衛隊員やその家族に対する侮辱であり、憤りを感じる』と書き込んだ。

佐世保のアーケード商店街でパレードする陸上自衛隊員が小銃を持つか持たないかという、非常に低次元な論争を繰り返していることと何も違わない。

逆に正常な市民感覚であれば、高校野球の入場行進よろしく自衛隊員が手ぶらで行進することの方が『おいおい、大丈夫なのか?』と不安にさせられてしまう。

大砲を外した戦車がパレードしているようなもので、冗談にもならない。




防衛予算を『人を殺す予算』と呼び、安保関連法を『戦争法』と呼ぶ。

そのようなまやかしに国民が騙されるとでも思っているのだろうか。

家族を守るお父さんは、必要最低限の筋肉は身につけておかなければならない。

【追加】
『護衛艦』というよね。アレ誰を『護衛』してるかわかる?
本文読めば誰のことだか、もうわかるよね。





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