テキサス親父と渡辺謙

ニューイングランドの韓国学校のナム・イル校長はこう語った、と韓国中央日報が伝えた。
「日本は太平洋戦争を起こした戦犯国家だ。日本が原子爆弾を受けたことばかり強調して被害者であるかのように話す」と。

また一方では、YouTubeでお馴染みのテキサス親父ことトニー・マラーノ氏は「66年前の広島、現在の広島、テキサス親父が思う事」と題する動画で、このように語っている。
「(日本における原爆関連の教育は)現在進行形の敵に対する憎しみの道具にするとかではないんだ。将来このような事が起こらないように望む事が平和記念公園(原文のまま、正しくは祈念公園)の意味する事なんだ。そこには博物館があり、当時どのような状況だったかを記す様々な展示が行われているんだ。アメリカに対する憎しみや恨みを語ったりする物は何も無かった。そこにある全ての物が平和を訴えている物だったんだ。」
この動画、まだご覧になっておられない方はどうかアクセスしてみてください。
このトニーさんがどれだけ深く日本を理解しているか、いつになく真面目に語り掛けるこの動画は必見です。

これに対して実は、私が個人的に持っているわだかまりが一つあります。
長崎の高校生が高校生1万人署名実行委員会を作り、世界へ向けて核兵器の廃絶をアピールしている運動は今年で17代目になります。
「核兵器の廃絶と平和な世界の実現を目指す」として「非力だが無力じゃない」を合言葉に、世界各国の持ち回りで開かれている国際会議に毎年参加しているNPO団体です。
一方、2006年のアメリカ映画で「父親たちの星条旗」という作品と「硫黄島からの手紙」の2作品が、クリント・イーストウッド氏の監督による映画として封切られました。
「硫黄島からの手紙」で栗林陸軍大尉役を演じたのが、俳優の渡辺謙氏でした。
渡辺氏は映画の公開に先立ち、各地方都市を訪れてPRのドサ回りに出かけたのでしたが、長崎を訪問した際は長崎県庁の応接室で県知事らと面会したのですが、そこにはこの高校生1万人署名実行委員会のその年のリーダーだった高校生の男女二人も同席していたのです。
その場で渡辺氏は何と言ったか。
私はニュースでこれを見て、思わず耳を疑ってしまったのです。
渡辺氏は二人の高校生に向かってこう言いました。
「原爆だけが戦争じゃないよ」

彼ら高校生は、核兵器の廃絶を目的として平和活動を続けているのであって、渡辺氏のように「戦争を語る」つもりはこれっぽっちもないんです。
いかに東京や大阪が大空襲を受けたとしてもそれらはあくまでも通常兵器だったわけ。
しかし広島と長崎に投下された核兵器は「新しい時代の幕開け」だった。だからこそ被爆地の子供たちに語り継いで、世界のどの国の市民も同じ苦しみを味わわさせたくないという活動だったのです。
だから二人の高校生は、渡辺氏が言った意外な発言に返す言葉が見つからなくてうつむいてしまっちゃった。

そもそも戦争映画の宣伝に俳優が来るのに対して、核兵器廃絶という平和運動をやっている高校生を招いた長崎県庁が間違っていたとも言えて、「戦争の悲惨さ」と「核兵器の恐ろしさ」という微妙に食い違う部分を誰も把握していなかったという結論に達するのです。
テキサス親父と呼ばれて親しまれているトニーさんですが、彼の方がよっぽど物の本質を理解しているような気がします。

広島や長崎の原爆資料館に行くと、たまに中国からの観光客と一緒になることがあるんですが、金太郎飴のように異口同音に彼らが口にする言葉があります。
「南京大虐殺をした天罰だ。日本人は被害者ヅラしてはいけない。」
俳優渡辺が主張することは、トニーさんに近いでしょうか、それともこの中国人観光客に近いでしょうか。
世界にたった2か所しかない原爆資料館は、被害者として展示しているのではなく、あくまでも未来の世界各国への警告なんです。
知っている人が知らない人へ伝えなければならないのです。

アーノルド・シュワルツェネガーの出演作品に1994年の「トゥルーライズ」という映画がありました。
シュワちゃんがハリアー戦闘機を操縦してテロリストと戦う映画だったのですが、この作品の中でテロリストが持つ核弾頭が爆発するというシーンがありました。
ピカっと光ってキノコ雲が上がるんです。
シュワちゃんは奥さんと抱き合ってキスをしながら目を抑えるだけ。
監督はジェームズ・キャメロンでしたが、ほとんどのアメリカ人は核兵器を「単なる大型爆弾」としてしか理解していないことを示しています。
知らないからです。だれも本当のことを知らないから誰からも教わって来ていないからです。
日本の2か所の原爆資料館はそれを教えています。
日本を被害者に転嫁する企みがあるとか、そういうのを「下司の勘ぐり」と言うのです。

前回の本ブログでモンサント社が関わったベトナムでの「枯葉作戦」について触れましたが、日本への核攻撃に始まり、ベトナムでの枯葉剤散布、さらにはイラク戦争での劣化ウラン弾の使用。
これすべて長い年月をかけて人々の遺伝子を破壊し癌細胞を発生させる兵器ばかりなんですね。
その怖さを世界に訴えようとしている高校生に対して、「原爆だけが戦争じゃないよ」とぬけぬけと言える神経が理解できないのです。
テキサス親父の方がよほど正しく理解している。

彼トニーさんの動画を見て行くと、捕鯨問題にしろ慰安婦問題にしろ、戦時中のアメリカによる日系アメリカ人の強制収容の問題にせよ、彼がただの「日本びいき」ではなく物事を正しく理解する能力を持った優れた人だということがわかって来ます。
願わくば、日本の悪いことも取り上げて欲しいと思うこの頃です。
日本とて完璧なはずがなくて、ほころびだらけの国になってしまっているのだから。


ご機嫌よう。




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