すいか

裏の奥さんが「夫の実家からもらったんですけど、食べきれなくて」と困った顔で持って来たのは、半分に切ったすいかだった。

昔で言うLPレコードよりも大きいから、直径30センチ以上だろうか。

うちには子供がいないことは奥さんだって知ってるはず。

半分に切ったからと言って、こっちも困る。

この時期を代表する果物なのに、いつからだろう、こんなに嫌われ者になるなんて。

「えっと、これをまた半分に切って4分の1にしてよそへあげても良いですか?」

「あ、それってお隣さんのこと?」

「そう」

「うちのを4分の1にして先に持ってっちゃった」

自分のとこも食えない半分を、どうしてうちに持って来るのさ、まいったなー。



私がまだ子供だった頃には、すいかと聞くと小躍りして喜んだものだった。

井戸こそなかったが、たらいで冷やして家族全員で食ったものだった。

手を合わせるようにして裏の奥さんは置いて行ったが、さて、どうしたものか。

なまあたたかな、半分にされたすいかが、なんとなく哀れに見えて来た。



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こんばんは

自販機とかも使えて便利なのに。
「ぴっ」
ちょっと重そうだけど。
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