地震予知連の打率

4月22日の産経ニュースで、妙な記事が出ていた。

産経が妙だと言うのではなく、日本における地震の扱われ方が妙なのだ。

記事を振り返ってみたい。

(引用ここから)

「22日までに福岡県北九州市でマグニチュード(M)8の地震が起きる」といった衝撃的な情報がインターネット上に流れ、大騒ぎになっている。台湾の研究所が発信したものだが、多数の死傷者を出した熊本地震の直後だけに「怖い」「本当か」「デマだ」などと、さまざまな意見が飛び交っている。(夕刊フジ)
情報の発信元は、台湾の「地震預測(予測)研究所」のブログ。電磁波の波形をもとに世界各地の地震を予測しているようで、3月6日には「20日以内に日本でM7以上の大地震の可能性」と予測していた。
(中略)
同研究所は4月9日には「3日以内に南日本か台湾でM6・3の地震が起きる」と発信し、19日には「3日内 日本福岡縣北九州市 M8+強震!」(3日以内に北九州市でM8の地震が起こる)と書き込んだ。
電磁波を利用した地震予知は珍しくないが、熊本に近い「北九州市」という地名を出し、「M8」と断定するなど、あまりにも具体的な記述もあって衝撃が広がっている。
NHKの「生活・防災」ツイッターは20日、以下のように書き込んだ。
 《「『22日にすごい地震が起きる』『北九州にM8の地震が来る』のは本当ですか?」といった質問が増えています。現代の科学では時間や場所を具体的に特定する地震予知は確立されていません。日本はどの地域でも地震への備えが必要ですが、あやふやな情報にはくれぐれもご注意下さい》
台湾の研究所のブログを念頭に置いているのは明らかだろう。

専門家はどう見るのか。20日まで大分県に入っていた京都大学防災研究所の西村卓也准教授(地震学)は「不安をあおるような怪情報だ。現在の科学で『絶対ない』とも否定できるわけではないが、逆に『来る』などと確証を持って言うこともできない」と、夕刊フジの取材に答えた。
さらに、「九州の人々が不安がっている時に、こういう情報を流すのはやめてほしい。いずれ、日時、場所、規模を正確に予想できたらいいとは思っているが、現在の科学ではまだできない。これが『できる』というのは、詐欺まがいだ」と語っている。

(引用ここまで)

さて、NHKは『あやふや』という言葉を使い、京都大学の地震学准教授は『詐欺まがい』とまで言い放った。

私は別に、この台湾の研究所を擁護する気は毛頭ない。「流言飛語」の類だとさえ思っている。日本の混乱を期待しているとすれば、外省人あたりのたくらみなのかも知れない。

しかしNHKが『あやふや』と言い、京都大学が『詐欺まがい』と言うのであれば、日本の『地震予知連絡会』はいったいどれほど信用に足る仕事をしているかだ。

そっち(台湾)は間違いだがこっち(予知連)は正しいとでも言いたいのだろうか。

「今後30年の間に発生する大災害の発生率は、駿河トラフに接する想定東海地震M8.0が87%。東海地震M8.1が60%。南海トラフに接する南海地震M8.4が50%」としているのに対して、今回発生した熊本の断層横ずれによる大地震はM7.5クラスの発生率を0~6%としていた。

東海地震の10分の1にするどころか、「0~」としていることは「発生しない可能性もある」と言ってることになる。

東南海地域の住民には過大な危機感を負わせておきながら、他の地域があたかも安全であるかのような(根拠に乏しい)数値発表を繰り返して来た公的機関である予知連は『詐欺まがい』ではないと言いたいのだろうか。

今回の熊本の災害を受けて、一部では熊本の災害準備が悪すぎたという批判があるようだが、「どうぞ油断してくださって結構ですよ」と言い続けたのは予知連だったのである。

そもそも地震予知連絡会という組織は、国土地理院の委託によって「学識経験者」と「関係行政機関の関係者」によって構成され1969年に発足している。

この「関係行政機関の関係者」というのは、別の言い方をすれば「国民の税金を原資にした利権集団」だということであって、目的は特定企業や団体に有利な行政をおこなって天下り先を確保し、花から花へと退職金を稼ぐための「畑つくり」をしている集団だ。

そしてその甘い蜜に群がっている似非学者たちのことを「学識経験者」という耳触りの良い呼称にしている。



しかし1969年以後に国内で発生した大規模地震災害を振り返ってみよう。

■1971年 2月:新潟県上越市 最大震度4

■1972年12月:八丈島東方沖地震 最大震度6

■1973年 6月:根室半島沖地震 最大震度5

■1974年 5月:伊豆半島沖地震 最大震度5

■1978年 1月:伊豆大島近海地震 最大震度5

■ 〃  6月:宮城県沖地震 最大震度5

■1982年 3月:北海道浦河沖地震 最大震度6

■1983年 5月:日本海中部地震 最大震度5

■1987年12月:千葉県東方沖地震 最大震度5

■1993年 1月:釧路沖地震 最大震度6

■ 〃 12月:北海道南西沖地震(奥尻島津波) 推定震度6

■1994年10月:北海道東方沖地震 最大震度6

■ 〃 12月:三陸はるか沖地震 最大震度6

1995年 1月:阪神・淡路大震災 最大震度7

■2000年10月:鳥取県西部地震 最大震度6強

■2003年 9月:十勝沖地震 最大震度6弱

2004年10月:新潟県中越沖地震 最大震度7

2007年 7月:新潟県中越沖地震 最大震度6強

■2008年 6月:岩手・宮城内陸地震 最大震度6強

2011年 3月:東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) 最大震度7

■2011年 3月:長野県北部地震 最大震度6強

2016年 4月:熊本地震 最大震度7


以上かなり端折った内容なんだが、これらのほとんどすべてが東南海のプレート運動とは無関係な場所で発生している地震だ。

これ全部「地震予知連絡会」が発足したあとで起こった自然災害なんだけど、彼らが何か役に立っている? 誰が見たって「んなわきゃねぇだろう」と口にするはず。

地震に限ったことなので、三宅島や御嶽山などの噴火災害はまた別の話。

だということは、日本列島はほぼ毎年のように地震や噴火を受けていることになる。それは地震列島に暮らす宿命だということなのだが、それにしては行政の災害対応能力がお粗末すぎるのではないか。

今回の熊本での地震災害に関するニュースを観ていたら、救援物資を運んで来た自衛隊員が、避難所の人から「もう食料は足りているから他の避難所に持って行ってくれ」と言われたことに対して「いいえ、ここへ運べという指示を受けているので、指示以外のことはできません」と断る場面が流れた。

「自衛隊は良く機能している」といった評価がある一方で、「やっぱり命令に従うだけで、自分で判断するという教育は受けていないんだな」と思わせるシーンだった。

このことは、行政の予知連をはじめとするこの国の成り立ちそのものに根差している問題であって、地震予知がこれだけ空振り三振を続けているにも関わらず、いまだに東南海だ首都直下型だと派手なことで人々の耳目を集め、NHKをはじめとする多くのメディアが予知連の打率の低さを指摘するのではなく、逆に特集番組を組んだり週刊誌が富士山噴火を書いたりして金儲けをしようとし続けている。

「いいかげんにせんか!」と言っているのはロバート・ゲラー博士だけだ。そしてゲラー博士を番組に呼んだのは、私が知る限り『そこまで言って委員会』だけだった。マスコミは彼をこぞって避けている。国民の生命財産よりも、体制の維持を優先しているからだ。「本当のこと」を言われると困るのが現在の日本社会である。

打率ゼロの4番バッターに毎年いくらの年俸を与え続けるのか。これを指摘するメディアが現れたら、世の中ひっくり返るかも知れない。




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