『文化庁移転』と『高浜原発』

消費者庁が徳島に移転されるという案で消費者団体などが紛糾しているらしいが、必ず東京になければならないとする声には何か大都市だけが持つエゴイズムを感じてしまう。

ただ、だからと言ってなぜ徳島なのかという理由付けの希薄さも感じぜざるを得ない。

要するに「直下型の災害が起こった場合、あるいは富士山噴火などが起こった場合」のためにリニアを建設して大動脈が途切れないようにしたわけだし、東名高速のバイパスを造ったのも海側は津波で通れなくなるから。

だから政府ははっきりと「関東の一極集中はまずいんだよ」と言えば良い。

それを言われると消費者団体もグの音が出まい。

安倍政権の地方再生政策なんて、中身は災害対策への先手なんだから。東日本大震災で空き缶がどれだけ慌てたか、横でじっくり観察してたんだしさ自民党は。

それで安倍政権が二の舞踏むようなことになったら、それこそ野党の攻撃材料を与えているようなものだ。「消費者庁は東京になければならない」なんて叫んでる連中にはっきり言ってやれば良いんだよ。「地震が起きてもそれ言いますか?」って。

安倍さんにしてみれば、自民党総裁選の相手である石破さんという存在を意識していることもあって、地方再生という美名の看板を下ろすわけには行かない。その事情はよくわかる。

ただ、矛盾を感じる部分がある。文化庁の京都移転だ。

一極集中を避ける意味で、ちゃんとした理由付けのできる地方へ移転するのは反対ではない。

京都という地域と文化庁という性質も共通項があるだろう。

しかし「まち・ひと・しごと創生本部」の会合で安倍さんは、文化行政の強化とともに京都の観光推進効果を謳ったとか。

ちょっと待った。

福井県にある関西電力高浜原発3・4号機の運転を禁止する仮処分決定を大津地裁が出したのが3月9日だった。

高浜は再稼働後に2度も不祥事を起こしていて安全性に対する関西電力の姿勢が問われた格好になっている。

原発を受け入れた福井県にはそれなりの見返りが与えられて来たのに、滋賀県やその他の自治体には見返りどころか説明すらも与えられて来なかった。

それは関西電力の怠慢であると同時に国の原子力行政の不備でもあったわけ。

私はここで「反原発」を主張するつもりは微塵もない。必要なものはそれなりの準備をした上で再開すれば良いと思っている。

しかしその準備が完了しているとは、どこから見ても無理がある。

そしてここが肝腎なんだけど、福井で原発事故が起きてごらん、福島みたいなもんじゃなくなるよ。関西の観光地はすべて空っぽになる。絶対に。

そうなった時、京都の観光推進だ何だと言ってられる?

特に京都や奈良は中国人をはじめとする諸外国から来る観光客でごった返している状態。

爆発しなくても放射性物質が漏れ出すだけで、京都も奈良も神戸も下手すれば伊勢さえも閑古鳥が鳴くことになるだろう。

そんな巨大なリスクを冒してまで原発を優先して再稼働する理由はいったいなに? 関西電力の経営を重視するからでしょう? 文化庁の話とセットにして語られるべきなんだよ。

観光行政と原子力行政は切り離して考えることはできないの、少なくとも関西に関しては。

だのに左の朝日も右の産経も、これらを切り離して論じてる。

「地方創生」という項目と「列島強靭化計画」というものと「原子力行政」というものとは個別に論じてはいけない。そうすれば必ず「想定外」の穴に落ちてしまう。

福島第一が吹き飛んだことで、人々はふるさとを追われた。

それと似たり寄ったりのことが福井で起きた場合には、京都はただでは済まなくなる。

世界に冠たる観光地が無人になった場合、日本全体の観光業の衰退の始まりになることは目に見えている。

関西電力はそのような極めて重要な責任を負っているわけだ。

ただ単に産業電力の安定供給というものだけではなく、世界からやって来る観光客の安全に対する責任も背負っていることになるわけだ。

政府は文化庁の移転計画を来年度予算案に盛り込むべく、8月末までに概要をまとめるとしているが、高浜原発のことは誰も口にしない。「これはこれ、それはそれ」と考えているらしい。日本特有の縦割りだ。

しかし外国から来る観光客は「これはこれ、それはそれ」とは見てくれないだろう。


皆さん、ご機嫌よう。



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