必要最低限の経済学

近年になってよく景気動向の話になる際にGDP(国内総生産)の比率について語られる。

これは小学校で教えるそうだが実際の社会人はあまりこの中身がわかっていない。

なぜならば我々大人の世代はGDPではなくGNP(国民総生産)を学習したからだ。

GDPとは、Gross(統計)Domestic(国内)Product(生産)の略であり、「国内」という部分がミソだ。

我々が習ったGNPの場合、(日本なら日本の)国民すべてが一定期間内に生み出した生産財やサービスの合計金額のことを指す。

つまり海外にある東芝やトヨタなどの工場で作られた物も含まれるわけだ。

しかしGDPになると海外で生産された金額は除外される。あくまでも「国内」総生産だからだ。

例えば日本のインスタントラーメンの会社が工場を韓国に作ったとする。

原材料は中国から輸入して、韓国人の従業員を使って生産する、給料はウォンで韓国人に支払われる。

それを韓国内の食品卸し問屋に販売し、その問屋は利益を上乗せして小売店に売る。

スーパーなどの小売店はまた利益を上乗せして消費者に販売する。

もちろんその中間には段ボール業者とか運送業者とかが介在する。

それらが利益を上乗せしている。

日本のメーカーは営業利益を日本に持ち帰り株主に配当金を出す。

これはGNPには加算されてもGDPには入らない。韓国の多くの業者が利益をあげているからだ。

かつての日本ではこのような例がほとんどなかった。だから子供にはGNPを教えていれば済んでいた。

ところが貿易黒字が莫大な額になって海外、特にアメリカから文句を言われるようになった。

そこで「輸出の形をとらなければ良いんだろう」と言って現地生産に乗り出した。

アメリカにトヨタや日産やホンダの工場があるのはそのためだ。

やがて現地法人を造り、「ホンダ・オブ・アメリカ」といった独立会計の会社を建ててアコード・ワゴンなどが逆輸入されるようになった。1100ccのモンスター・バイクなどもそうだ。

あるいはメキシコに工場を建てた会社は、そこで生産された製品をアメリカに輸出した。

すると貿易黒字は日本ではなくメキシコだということになる。

だからGNPでは経済動向が見えなくなってしまうので、GDPが採用されるようになったわけだ。

それと同時に、不良債権の処理に苦しんだ日本に向かって「内需を拡大しろ」とアメリカは迫った。

どういうことかと言うと、物を作って外国に売る(外需)ではなく、国内で消費しろと言うわけだ。

あるいは外国の完成品を積極的に輸入しろという意味でもある。アメリカは農産物以外、工業製品の製造をやめてしまったけれどイギリスのダイソンだとかフランスのティファールなどが入って来た。

保険だったらスイスのチューリッヒとかね。

その結果、不良債権に苦しんだ日本経済は、輸出産業がどんどん海外生産に切り替えてゆき、国内消費を積み上げて行った。

目立ったのは中国だ。あの国のずる賢さは合弁会社という形態を執ることによって「逃げ出して行かれても工場や生産設備は残る」といった人質作戦に出たことだった。

まぁ今回は中国の悪口を言う趣旨ではないので、話をGDPに戻そう。

GDPには名目GDPと実質GDPというものがある。

名目GDPとは価格変動を含んでいて、実質GDPには含まない。

単価×数量で売上額が出るとして、単価が変動した場合には売り上げに反映するんだけれど、単価が変動したのではなく税率が上がっただけだった場合のような状況になると売り上げ金額は変わらない。

ほら、我々が子供だった頃は消費税なんてなかったからあまりこういった違いに敏感でなくても良かった。

しかしいろんなことで経済環境が変化して来ると、複雑に対応しなければならなくなって来てしまう。商業科の生徒なんか可哀想なくらいだ。

必然的に経済ニュースを理解しようとすると専門的な知識が要るようになってきて「わかる人はわかるけれど、わからない人はずっとわからないまま」ということになってしまう。

それで「なんとなく」しか理解していないままで「中国や韓国の経済が危機的状況になっている」といった情報が入ると、「ああ、そうなんだ」として受け入れてしまう。

しかも「四半期決算」とか言って3ヶ月ごとの業績を計算したり、「連結決算」とか言って子会社や関連企業に利益を分けて課税をごまかそうとするようなことができないような制度など、どんどん専門化して来ているから、付いて行くのがなかなか難しい。

ここでややこしい話をしなければならないのだが、「名目GDP」を「実質GDP」で割った数値を100倍する。これが100以上になればインフレ、100以下になればデフレとされ、この数式のことをGDPデフレーターと呼ぶ。いわゆる物価変動指数のことだ。

つまり名目GDPが実質GDPを上回れば「景気が回復した」ということになるわけだ。黒田日銀が言う「緩やかなインフレ」とはこのことを指す。アベノミクスの肝の肝だ。(アベノミクス≠財務省)

中国のGDPがプラス6.6%とか言われているが、共産党政権が言っていることだからまともに聞いてはいけない。

それに対して韓国のGDPがプラス2.6%と発表された。政府目標を大きく下回ったとして朴政権が非難されているものの、それでもプラス成長はしているらしい。

日本は2014年がマイナス0.10で、2015年がプラス0.59だったが今期はマイナス成長になる見通しだという。

「暖冬の影響で冬物衣料が売れなかった」だと? 何を寝言言ってんだか。今の日本人はもう冬物衣料くらい誰だって持ってんだよ。タイからの観光客じゃあるまいし。

何だ韓国の方が成長してるじゃないか、そう思われるかも知れない。

しかし上記のGDPデフレーターを見なければ本当のことはわからない仕組みになっている。これからどっちに向かうかだ。

「プラスだマイナスだ」だけでわかるほど経済は単純ではないということだ。

つ・ま・り、無能な財務省がメディアを通して円の危機感を煽っているが、マイナス金利になったことで実質的に財政再建は終わっている。円は弱っているのか強まっているのか説得力がない。

為替は相対的なもので、ドルやポンドやユーロや人民元が強くなっていますか?

メディアが言うウラには官僚たちの天下りという事情があるのかも知れない。知識がなければ簡単に騙されてしまう。



皆さん、ご注意を。




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