農産物の自由化

今日は少し掘り下げたお話を。

ウイスキーのニッカの社名の元になったのは「大日本果汁株式会社」だってことは有名な話。
ウイスキーは仕込みから出荷まで時間がかかるので、その間、余市の特産物であるリンゴをジュースにして従業員の給料を確保しようとしたことから始まっている。
ウイスキーの初出荷は1940年(昭和15年)だったので、リンゴジュースはそれ以前のことになる。

一方で、愛媛県青果農業協同組合連合会の桐野会長が訪米して、果樹産業の実地調査をやったのが昭和26年のこと。
そこで桐野はオレンジやグレープフルーツのジュース生産が盛んな現実を直視する。
帰国後、松山市に工場を建設し落成させたのが昭和27年暮れのこと。スタートダッシュは素早いことがわかる。
その後昭和44年から本格的な100%みかんジュースを販売させている。
ちなみに「ポンジュース」の「ポン」は、ニッポンの「ポン」。

ところで第69代内閣総理大臣だった大平正芳氏がまだ自民党総務会長だった頃、日中国交正常化後の中国へたびたび訪れて鄧小平と面談していたことは誰もが知るところではあるが、社会党が提出した内閣不信任案に、反主流派だった三木派と福田派が採決に対して欠席するという行動に出て不信任案が可決され、対抗する大平総理は衆議院を解散、衆参同時選挙に持ち込んだ。
しかし大平首相は選挙戦の初日に心臓発作で倒れ帰らぬ人になる。
当時総務会長を務めていた鈴木善幸が第70代総理大臣に任命される。
鈴木は1981年5月に訪米しロナルド・レーガンと会談したが、直後に出された共同声明で初めて『同盟関係』との文言が加えられ、記者団の質問に苦慮した鈴木は「軍事同盟という意味ではなく、自由市場の経済体制ということだ」と発言し日米両国民の感情を逆なでさせた。
しかも中国と韓国から歴史教科書問題を突き付けられると近隣諸国条項を定め、「鈴木首相と宮沢官房長官は事実誤認にもとづく謝罪をおこなった」として厳しく非難されている。
1982年10月に、総裁選への不出馬を表明し退陣会見をおこなった。
それで後任になったのが「浮沈空母」発言をやらかした中曽根康弘だった。
日米軍事同盟を否定したことで四面楚歌になった先代に習って、今度は軍事面でアメリカに尻尾を振ったわけ。

関税と貿易に関する一般協定、すなわちGATT(ガット)の結果、多国間交渉に日本が参加したのは1955年(昭和30年)の鳩山内閣当時のことだった。
しかしウルグアイラウンドで牛肉とオレンジの輸入自由化が決まったのは1991年の海部内閣の時だったのだが、基本的には鈴木内閣の尻ぬぐいに中曽根内閣がアメリカへ尻尾を振ったことが主な原因。
中曽根は科学技術庁の長官だった頃に、アメリカ製の原子力発電施設を導入した張本人でもあったわけ。
1985年8月に起きた、日航機墜落事故は第二次中曽根内閣の時のできごと。ロン・ヤス会談が繰り返されていた頃だ。

これで日本国内の畜産農家とみかん農家は大きなダメージを受けるとされていた。
しかしアメリカの牛肉は一般的に穀物で育てられた牛であり、オーストラリアやニュージーランドは主に牧草で育てる自然な飼育方法だった。
アメリカの飼育法だと抗生物質やホルモン剤などの薬物が投与されている恐れがあり、後に狂牛病などの問題ものぼった。
そしてオレンジにおいては、アメリカからのコンテナ輸送は時間がかかるために防カビ剤を塗布する「ポストハーベスト」の問題が指摘された。
何より、日本人はオレンジを食べる食習慣がなかった。みかんがあったからだ。
オレンジとともに日本へ入って来たのはグレープフルーツだった。
しかし日本の果樹栽培農家は、まだこの作物を生産していなかったことから貿易摩擦は何もなかった。

このように見て来ると、自由貿易協定が巷間言われているような農産物の脅威ではないということがわかる。
生産農家が脅威を受けるのではなく、ほとんど政治的・軍事的背景が強い。
ウルグアイラウンドで自由化された牛肉やオレンジがどれだけ国内の農家に打撃を与えただろう。
コメの輸入化によってスーパーにカリフォルニア産のコメが並んだだろうか。
ミニマムアクセスがあるから、外食産業や弁当などには使われているだろう。しかし外国のコメを買おうとする国民はまずいない。

それよりも、日本の貯蓄率に目をつけたアメリカが金融や保険などの事業で日本へ入り込もうとしていることの方がよほどの脅威になりそうだ。
しかしそのことを指摘する国内メディアは皆無の状態だ。

広告宣伝費が新聞テレビからインターネットへ移動しているために、国内メディアは瀕死の状態に置かれている。
そこへ目をつけたのがアメリカ系の企業である。
保険や洗剤や飲料品など、アメリカ企業の広告によってどうにか命を保っているのが日本のメディアの内情だ。
アメリカの脅威など、言えるはずがない。



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