中韓FTA

インドネシアの高速鉄道計画が中国に決まったとして日本国内で話題になった。
これには中国が主体となって設立を目指すAIIB(アジアインフラ投資銀行)の存在が大きい。
このAIIB計画は2015年末の業務開始を予定しているが、アメリカと日本は参加していない。

環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP交渉が妥結したならば、中国と韓国は置いてきぼりをくうことになる。

AIIBは原則インフラ投資に関わるもので、TPPは自由貿易に関することだが、どちらも自国経済の発展を目的にしている点では変わりはない。
アフリカ諸国で見られたように、中国主導でインフラ工事を受注した場合は、現地の雇用創成には無関係に中国人スタッフが大挙して押し寄せることになる。
建設工事はもとより、調理師から理髪業まですべてが中国人によって賄われることになる。

さて、中国と韓国が自由貿易協定(FTA)に署名したのは2015年6月1日のことだった。
年内の発効を目指して手続きが進められている。
今回の合意では、FTA発効から20年で両国の貿易品目の90%以上で関税の完全撤廃が実施される。

韓国にとって中国は最大の貿易相手国で輸出の4分の1を占めている。
韓国産業通商資源省の試算では、中韓FTA発効から10年で、韓国GDPを0.96%押し上げ、5万人の雇用創出が期待できるとしていた。
しかしこのことが「取らぬ狸の」何とやらで終わる可能性があることは、アメリカとの間に結んだ二国間FTAを原因にして韓国経済が一気に悪化したことに対する学習能力が欠けている証拠となる。
しかし実はこの中韓FTAの動機になったのがTPPであることは常識とされている。
つまり環太平洋から外された中国と韓国の焦りが一致した、ということであって、必ずしも勝算があってのことではない。
そして今回、高速鉄道計画を中国方式に決定したインドネシアも実はTPP交渉に参加していないのである。

ともあれ韓国は中国とのFTAによって経済発展をもくろんでいることは明らかな事実だ。
しかしたった数ヶ月で状況は一変した。
韓国輸出の約3割を占める電子・自動車産業が危険水域に入っているという。
かつて価格競争力だけが武器だった中国製品が、品質を高めているために韓国産と十分に比較できるレベルに達しつつあるのだというわけだ。
韓国の輸出品目の1位である半導体分野では、中国が圧倒的な資金力によって世界2位のCMOSセンサーメーカーであるオムニビジョンを買収した。
韓国の主力産業であるメモリー半導体分野でも中国が追い付こうとしている。

サムスン電子とSKハイニックスがメモリー半導体の世界シェア1・2位を占めているものの、中国に追い抜かれるのは時間の問題だとされている。
と言うのも、メモリー半導体は設計がさほど難しくなく、短期に大規模な設備投資をすれば10年以内にも世界シェアが逆転する可能性が示唆されている。
半導体などの部品だけではなく、スマホやテレビなどの完成品でも中国国内におけるシェアは急落している。
3年前まで中国でのスマホのシェアはサムスン電子が1位だったが、現在は5位以下に落ちている。
そして何より韓国国民から、現代やサムスンなどが支持を失ってしまった。
つまり中韓FTAによって韓国GDPが伸びるどころか、中国製の自動車や電子製品などが無関税で押し寄せて来ることが目に見えてしまっている。

ただし笑ってばかりもいられない。
中国経済が株式市場を発端にして、急速に勢いを失いつつある。
このことは日中貿易にも巨大な悪影響を及ぼすことが必至であり、市場経済を狂わせた中国共産党がどのような暴挙に出るかは予断を許さない状況にある。

今の日本国民にできることとは、政権を安定化させることだろう。
「法的安定性」は必要なのである。





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