ガソリンと軽油の違い

最近、ドイツ車に関してディーゼルエンジンの不都合が表面化して来ている。

欧州では一般的になっているディーゼルだが、日本やアメリカではガソリン車が主流だ。
特にアメリカはガソリンと軽油の価格差がほとんどないために、ディーゼル車の販売は伸び悩んでいた。
日本では経済成長期に、トラック輸送などを普及させる目的で通産省(今の経産省)が軽油にかかる税金を低く抑えていた。
つまりガソリンと軽油の価格差とは、燃料としての性能比ではなく政治的な課税の問題だったのだ。
特にアメリカは産油国であり、ジェームス・ディーン主演の映画『ジャイアンツ』に見られる通りテキサスなどに油田を持つ。
つまりアメリカは、ディーゼルを求める条件が薄いと言うことができるわけだ。(鉄道やトラック輸送を別として)

だからアメリカに両者の価格差が存在しなくても不思議ではない。
それどころか環境問題に厳しいアメリカの制度は、ディーゼル車の普及を妨げていた。
そのために欧州車はディーゼル車の開発費の回収が遅れたことから、どうしても北米市場に打って出る必要があった。

しかしアメリカの制度では、新車時の排ガス検査だけではなく、20万km走行時の排ガス性能までを要求する厳しさだった。
そこでVWは考えた。
通常走行時に、まんべんなく排ガス触媒を稼働させれば急激にエンジン出力が落ちて坂道も登らなくなる。そもそもディーゼル車とは黒い煙を出して坂を登るエンジンなのだ。
だから排ガス検査時(駆動輪だけが回転して、非駆動輪は停止した状態)のみを検出して、コンピュータが排ガス触媒をフル稼働するように命令を出し、通常走行時にはいくらでも煙を吐けるように細工をした。
その結果、検査時と通常時の有害物質は40倍に達したとされている。

しかしそれだけではなく、カタログ表示された走行時燃費のスペックにも疑いがあることがわかった。
欧州の非政府組織T&Eが発表した調査結果では、VWの路上走行燃費性能が、公表値より平均4割低かったことが判明した。

T&Eは「欧州の試験は全く信用できない」とし、試験値とカタログスペックの差は2001年には8%だったが年々拡大しているとし、2020年には5割に達する可能性があると警告した。
これを受けてアメリカ環境保護局EPAは、他社のディーゼル車も調査対象にしているとされている。
つまりBMWやメルセデス、フィアット、欧州産クライスラーなどの28車種が対象とされており、日本系(アメリカ国内での生産を含む)メーカーは含まれていないと、2日付けのイギリス紙フィナンシャル・タイムズが報じた。
VW(『日本人は皆殺し』で名を馳せたアウディを含む)の不正ソフトだけでもアメリカ国内で48万2000台のリコールが発生しており、世界的には1100万台に及ぶとされている。

違法ソフトだけではなく、カタログ表示に虚偽があったとすればBMWやベンツなどにも問題がひろがり、違法ソフトの存在までが疑われる要素となる。



ではここで視線を変えて、ガソリンと軽油の違いを見てみたい。
何がどう違うのか。

ガソリンなどの揮発油は一般的に重油を加熱して揮発する蒸気を採取して精製する。
ガソリンは30℃から230℃の範囲で発生する蒸気で作られるのに対して、軽油(ディーゼル燃料)は140℃から380℃の範囲で発生する蒸気を用いる。
すなわちより低い温度で気化するガソリンの方が常温常圧で良く燃えるのに対して、軽油はより高温高圧で燃焼するという特性がある。
だから精製過程は加熱温度の差でしかなく、価格に違いがあるわけではない。

ディーゼルは高温高圧で燃焼することから、トルクを得ることが比較的容易で、貨物輸送や船舶機関などに広く用いられる。
ただし低温に弱いために、ディーゼルエンジンには余熱ヒーターなどが備えられている。(三菱ふそうやいすゞなどはクイック・スタート機能を開発した)
ちなみにガソリンに「オクタン価」があるように軽油にも「セタン価」というものがあり、ガソリンにハイオクとレギュラーがあるように軽油にもプレミアム軽油なるものがある。
軽油の通常のセタン価は54前後だが、プレミアムになるとやや高めに設定されていて着火しやすく馬力や燃費が良くなるとされている。

これらの違いは利用方法の目的別に使い分ける必要があることを指していて、どちらが安いからだとか言った話ではない。
環境性能とすれば二酸化炭素の排出量はディーゼルの方が勝っているものの、窒素酸化物などは圧倒的にガソリン車が上回っている。
そのためにディーゼル車は、ガソリン車に近づけるために触媒などを取り付けて排ガスをろ過しようとするが、アメリカの環境基準ではこの触媒が20万km走行後も規制値をクリアしなければならないと謳っていることから今回のようなごまかしが生まれる背景になった。

皮肉なことにVWの不正ソフトが摘発された直後にメルセデスベンツは日本国内でCクラスのクリーン・ディーゼルを発売した。
排気ガスに尿素を噴射して無害化するというブルーTECエンジンを開発したと謳っているが、カタログスペックに虚偽があるのではと騒がれているメーカーに属している。



CO2による地球温暖化を指摘して、排出権取引という新たな金融商品をでっちあげたのがアメリカの政治家であるアル・ゴアだったが、この論拠はすでに破たんしている。
つまりCO2が温暖化を招くのではなく、ち密なデータを検証してみると温暖化のあとにCO2の増加があることが判明した。
地球の温暖化の原因は他にあるとして、世界中で研究が進められている。
しかし先進各国はCO2犯人説をいまだに支持している。金融取引があるからであり、後進国の経済発展を阻止できるからだ。
ところが、言い出しっぺのアメリカにおいて、CO2に優れたディーゼルが否定されようとしている。

日本でも、原子力発電はCO2の排出抑制に効果的だとする主張があって、地球温暖化の犯人はCO2で間違いないとする立場を崩していない。



VWが犯した過ちは、どこまで広がるか予断を許さない。
産業革命は蒸気機関の発明によるものだったが、少し考えてみればその蒸気は石炭を燃やすことから始まっていることに気が付く。
つまりCO2を否定するか肯定するかで、産業革命そのものの根本を問い直すことになるだろう。



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