日の丸オスプレイ

1960年、イギリスのホーカー・シドレー社が世界初の垂直離着陸機(STOVL機)を開発した。その名はハリアー。
これをベースにして海軍型に改造したのがシーハリアーで、小型空母などからの離発着も可能にした。
さらにアメリカのマクドネル・ダグラス社が改良型を造ったのがハリアーⅡだった。

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STOVL機とは、Short Takeoff Vertical Landing の略で、直訳すれば「短距離離陸・垂直着陸機」ということになる。
だから短い滑走路で飛び立ち、垂直に降りて来る。
それは、着陸時は落下速度にブレーキをかけてやるだけだが、離陸時には機体重量を持ち上げないといけないから垂直離陸をすれば相当な燃料の消費を招くということであり、斜め上空に飛び立つ方が合理的だという意味であって性能的には垂直離陸や空中ホバリングも可能になっている。

なぜイギリスが開発に着手したかと言うと、ヨーロッパ戦線においてドイツから長距離ミサイル攻撃を受けて多くの滑走路を失った記憶があったから。
滑走路を必要とせずに森の中に隠していた戦闘機が垂直に飛び立つのは夢のような話だった。
艦載型のシーハリアーの実戦デビューはフォークランド紛争だった。
空中戦では圧倒的な優位性を示したが、地対空ミサイルや対空砲などで撃墜された機体もあった。

速度は亜音速であり航続距離も短く視程外射程ミサイルを搭載できないことから昼間攻撃しか行えないなどの欠点が多い攻撃機だったことから、イギリス海軍は採用を諦めた。
しかしアメリカ海兵隊は改良型のハリアーⅡを開発。
本格的な滑走路を必要としない機能は、上陸侵攻の際に有利な働きをする。
しかしジェット噴射の排気口の角度調整にパイロットの高い技術を要したことから、多くの墜落事故を起こしパイロットの損失を招いた。
まだコンピュータ制御の「フライ・バイ・ワイヤ」が完成していなかったからである。

のちに登場するオスプレイが「ウィドウ・メーカー(未亡人製造機)」と呼ばれたが、実はこのハリアーの方がはるかに「落ちる」機体だったのである。

しかしSTOVLはアメリカ海兵隊にとって絶対の魅力であり、短距離離陸・垂直着陸は手離すことができない。
それに加えて攻撃能力よりも輸送能力を求めるようになった。
地上兵力の支援とすればA-10サンダーボルトがあるからだ。
そこで開発が進められたのが、ヘリコプターの利点である垂直離着陸とホバリングが可能で、かつ通常の固定翼機のように高速移動と長い航続距離を両立するV-22オスプレイだった。
だがF-22ラプターの開発と重なっていたために予算が削減され、V-22オスプレイの開発は遅れた。
量産試作機が製造されたのは1995年のことである。

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オスプレイは海兵隊用がMV-22、空軍用がCV-22と呼ばれる。
米軍の輸送ヘリCH46と比較すると、速度は時速500kmで約2倍、航続距離は約3900kmで5倍以上になる。
積載量はCH46が2、270kgであるのに対して、オスプレイは9、070kgに及ぶ。
この優れた機能はアメリカ海兵隊のみならず、災害が多く離島を抱えている日本の防衛においても有力な装備になる。

日本の陸上自衛隊は2015年度に17機を導入することを決定し、その全機を佐賀空港に配備する。
佐賀空港は有明海の干拓地に造られた空港で半径2km以内に民家がなく、騒音の問題がないことから夜間の貨物便を受け入れている。
環濠集落遺跡がみつかった吉野ヶ里には、陸上自衛隊の目達原(めたばる)駐屯地がありアパッチ型攻撃ヘリなどの対戦車ヘリコプター隊などが配備されている。
日の丸オスプレイはその追加装備になるだろう。

事故が多いと悪評を立てられているオスプレイだが、実際の10万飛行時間あたりの事故率は1.93であり、アメリカ海兵隊の平均(2.45)よりも低い。
自衛隊の主力輸送ヘリ、CH-47の事故率は3を超えている。オスプレイがいかに安全かを物語っている数字だ。
性能が飛びぬけて優秀な装備を持ち込ませたくない反日団体が、デマを流しただけのことである。

また、離島からの急病人の緊急輸送を想定して、東京都の小笠原諸島までテストフライトをしている。
おおすみ型輸送艦に搭載されれば、災害派遣にも絶大な力を発揮するだろう。

佐賀という地政学上の特徴は、朝鮮半島と長崎・熊本・鹿児島の離島群ならびに沖縄までをカバーしうるものである。
陸上自衛隊がアメリカ海兵隊と共同訓練をして、離島防衛の知識を積み重ねている。
これこそが「抑止力」なのだ。


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