ひと夏の恋

昨日、徒歩で近くの病院へ行った。

帰りに休憩がてら、行き付けの床屋で散髪をしてもらった。

それが終わると昼時で、曇り空から陽がさしはじめていた。

ぶらぶらと歩いて自宅を目指していたところ、庭の手入れに熱心なお宅の生垣に、美しい植物を見かけた。

例によって私は携帯電話を持たない。「いまどこ?」とやられるのが嫌いだからだ。

近年は、写真と言えばデジカメではなくもっぱらケータイかスマホで撮るらしい。

便利な世の中になったものだ。

私もケータイを所持していたらきっと、その植物を撮影したことだろう。

びっしりと茂った生垣は、ピンク色した葉っぱで埋まり、その約半数が金属光沢で光っている。

目というよりもむしろ心を奪われた私は、しばらく立ち止まってそれを眺めた。

家の中から人が見ていたら、窓を開けて声をかけてくれるだろうという期待があったが、とうとう反応はなかった。

花束を包むセロハンの虹色をくしゃくしゃにしたような独特の色合い。

こがね虫のように光っている。花は咲いていない。

何という植物なんだろう、初めて見る。

しばらく見とれていると、背後を猛スピードで郵便配達のバイクが走り過ぎる。

「さてと・・・」

急な上り坂をのぼって家路に着いた。



今朝目が覚めて、あの植物は何という名前なんだろうと思い出した。

はっきりと脳裏に焼き付いている。

グーグルの画像検索とサイト検索をしつこく探したが、とうとうどこにもあの植物は出て来なかった。

まるで少年時代に、海水浴場で見かけた見知らぬ少女の面影が強く残っているように。

今度あそこを通る機会があれば、チャイムを鳴らして聞けば良い。

しかし、知らないままで記憶にとどめるのも、オツなのかも知れない。




皆さん、ご機嫌よう。






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