御殿場事件の闇を産んだ女【再掲】

どこかで聞いたことのある名前でした。

前福島県知事だった佐藤栄佐久氏がダム建設をめぐる汚職事件で収賄罪に問われて争われていた問題で、最高裁が下した結果は検察・弁護士双方の上告を棄却するという決定を下したために、二審である東京高裁判決の『懲役2年、執行猶予4年』の有罪判決が確定しました。
この最高裁判決の裁判長が「櫻井龍子」という人物でしたが、彼女の名前が脳裏の片隅に残っていたのです。

はて、どなたさんでしたっけ、というわけで早速Wikiを開いてみると、「思い出した!」。
そうです、最高裁まで争われた御殿場事件でした!

この事件(御殿場事件)の内容を簡単に思い出してみましょう。
2001年9月に静岡県の御殿場駅近くで起きたとされる集団強姦未遂事件です。
深夜に帰宅した女子高校生が遅くなった理由を母親に問いただされて「強姦された」と答えたことから事件は始まります。
被害者少女の証言によれば、中学時代の男子同級生に駅近くの公園へ連れ込まれ、10人の少年らによって強姦されたというものでした。
逮捕された少年らは警察による連日の取調べで犯行を自供しますが、裁判が始まると「自白は強要されたものである」として無罪を主張します。
その後被告少年らのアリバイが明らかにされる中で、被害者少女が出会い系サイトで知り合った別の男とデートしていたことが帰宅時刻を遅らせた本当の理由だったことが判明します。
しかし被害者少女は犯行を否定せず、犯行日の変更を主張します。
これによって被告少年らのアリバイが役に立たなくなってしまいましたが、逆に警察での取調べの際の自白調書に矛盾点が出てきます。
検察側は被害者少女の申し立てを支持し、静岡地裁沼津支部の高橋翔子裁判官もこれを許可して少年らに有罪判決を言い渡します。

この高橋翔子という人物もなかなかのもので、性犯罪事案の判決に対して偏りが見られると指摘する声が少なくありません。
一審判決を不服とする被告人側は即日上告します。

二審である東京高裁では中川武隆判事が裁判長を務めましたが、犯行日の天気が争点になったものの「事件現場で雨が降っていたとは言い切れない」として一審判決を破棄した上で改めて有罪を言い渡します。
ここでも被告人側は即日上告します。

いよいよ櫻井龍子が立ち塞がる最高裁第一小法廷の扉が開きます。
彼女は主犯格とされる4名の被告人らに上告棄却(二審判決が確定)、保護観察が言い渡されていた被告にはこれを取り消した上で執行猶予付きの実刑が確定・・・というものでした。
被告人らは刑務所ならびに少年院などの収監を済ませ、身元引受人がいるにも関わらず仮釈放が認められず満期での出所を終えています。

この櫻井龍子という人物は1947年に福岡県の大牟田市で生まれ昭和44年に国立九州大学の法学部を出て国家公務員上級甲種試験に合格し厚労省に入省しています。
厚労省では課長職、部長職を経て大臣官房審議官や厚労省女性局長までを務めた人物です。
その後2008年に最高裁判事に着任しました。

判事として扱った事件は、2009年に「御殿場事件」の被告4名の上告を棄却。
2010年に「日本航空機ニアミス事故」の業務上過失致傷罪に問われた航空管制官の上告を棄却。
同年に「オウム真理教」の麻原彰晃の再審請求を棄却。
2011年に「村上ファンド事件」の村上世彰の上告を棄却。
同年に「連続リンチ殺人事件」の元少年3名の上告を棄却(死刑確定)。
2012年に「光市母子殺害事件」の被告の上告を棄却し、広島高裁へ差し戻し。
つまりこの判事は被告の上告を棄却する判例が目立って多い人物なのです。

福島前知事だった佐藤栄佐久氏を被告とする「ダム建設汚職」においても櫻井龍子のお家芸は冴え渡ったようで、検察・被告双方の上告を棄却して見せたのです。
あまりにも有名すぎるためにこの事件を知らない人はいないと思いますが、少しだけ佐藤栄佐久氏がハメられた汚職事件を振り返ってみましょう。

2006年に起きた水谷建設が関与した一連の不正事件に、佐藤知事の実弟が不正な土地取引を行なったとして競争入札妨害の容疑で逮捕されます。
前田建設工業の下請けだった水谷建設が福島県発注の木戸ダム建設をめぐる土地取り引きの際、知事の実弟が経営する会社の土地を相場より高値で水谷建設が買ったとされる疑惑でした。
水谷建設とは北朝鮮との裏取り引きを行ったり巨額脱税問題を起したりという札付き企業でしたが、そのバックには公共工事への依存度が極めて高い前田建設工業が絡んでいます。

これを受けて佐藤知事は同義的責任を取る意味で知事職を辞任しますが、その後東京地検特捜部によって収賄の容疑が佐藤氏自身にかけられて逮捕されるというものです。
一審の東京地裁は懲役3年・執行猶予5年を言い渡し、二審の東京高裁では懲役2年・執行猶予4年へと量刑が下がります。
これを受けた検察・弁護双方が最高裁へ上告していましたが、2012年10月16日に、最高裁第一小法廷の櫻井龍子裁判長が双方の上告を棄却したために佐藤被告の有罪が確定したものです。

そもそも検察庁の特捜部が国民の信頼を失っている時期に、それに輪をかけるかのようないかがわしい判事が登場したのでは、この国の司法制度が根幹からゆらいでしまいます。

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