スーパー・スプレッダー

SARSが流行した際に、感染拡大の感染源となった患者の存在が各国の調査によって徐々に明らかになっている。
『東京都感染症情報センター』のサイトでは、このスーパー・スプレッダー(以下、SSと略)は10人以上への感染拡大の感染源となった患者をそう呼ぶと定義している。

『The Wall Street Journal』の2014年12月16日付けの記事によれば、他人にウイルスや細菌を感染させやすい人(SS)は人口のおよそ20%だとしている。
この約20%の人々が感染源となる割合は、約80%に達すると科学者の推計を紹介している。

アメリカには「チフスのメアリー」という言い伝えが残っており、1900年代初頭のニューヨークの料理人だったメアリー・マローンが、本人は発病しなかったものの数十人に腸チフスを感染させた事例を残している。

SARSの感染拡大などを受けて、様々な角度から研究が進められて来ているが、なぜ一部の人が病気を感染させやすいのかの原因はまだ解明されていない。
ウイルスや細菌ごとに毒性の強さはさまざまで、一方の感染力も一定ではない。
にも関わらず他者に感染させやすい体質の人が存在している。
最近の実験では体の免疫システムが関係しているのではないかといった指摘もされているが、性格的な問題による行動と体の免疫システムという問題の両面が絡んでいるのではないかとされている。

SSの定義も専門家によってまちまちで、他者との接触が多い人のことを「スーパー・スプレッダー」として、ウイルスや細菌を多く放出する人のことを「スーパー・シェッダー」と読んで区別する向きもある。
またSSがチフスのメアリーのように本人が病気を発症しにくいのかどうかもまだ解明されていない。

香港の高層マンションでSARSが流行した際は、感染源が人口透析を受けていた腎臓疾患の治療中だった男性と特定された。
つまり体内の免疫力が落ちた場合にSSになる可能性が指摘されている。

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今回の韓国におけるMERSの感染拡大も、医療施設で重篤な疾患を抱えて治療を受けていた人々が主な二次感染者となっている。
しかし見落としてはいけないのは、初期診察に当たった医師や看護師、あるいは見舞客などの健常者も感染している点だ。
免疫力が低下している人々がSSとなってウイルスをばらまいた場合、免疫力が通常の人へも感染させている事実がある。

そもそもMERSは感染しても全てが発症するわけではなく、無症状のまま気付かないで終わるケースがあるという。検査を受けて初めて陽性と聞かされるような場合だ。
だからこれらの「隠れ感染者」を分母に組み入れれば、死亡率が40~50%という高率数値も下がるのではないかとする意見もある。
結核菌と同じで、実際には肺の中に取り込んでいても、免疫力などで発症を抑え込んでいる場合と同じだという意味だ。
ただそうなると、結核の保菌者と同じで体内にMERSウイルスを保存していた場合、何がしかの病気を発症して体力が落ち免疫力が下がった場合に、時限爆弾のようにMERS症状が出る可能性が否定できない。
少なくとも結核はそうした道のりを歩んでいる。
子供の頃に結核菌に暴露された人物が、治療によって症状が抑えられ教員などの職に就いたとして、その人物が高齢化すると若い頃の結核菌が増殖を開始して児童や生徒にうつしてしまうと言ったケースが後を絶たない。

今回のテーマは「スーパー・スプレッダー」なので全人口の5人に1人が感染源になる資格を有するとされている。
個人的な考えでは、ウイルスやバクテリアが増殖しやすい体質ではないかと考えている。
もちろん行動パターンの問題という面もあるだろうが、体質の面で言えばDNA検査か何かで突きとめることはできないのかと考えてしまう。


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