MERSの基礎知識

韓国で感染拡大が続いている中東呼吸器症候群(MERS)について、事前に知識を蓄えておこうと考えた。

NID国立感染症研究所が出しているHPに様々な情報がみつかった。

【疫学的所見】

■2014年5月までに得られたデータでは、罹患者の65.6%が男性だった。
■感染者の年齢の中央値は49歳(範囲:9ヶ月~94歳)
■感染者の約3割が初発例だが、他の6割が医療施設での二次感染と推定された。
■医療従事者の症例は、確定症例の全体像と比較して、より若くまた女性の場合の割合が多く、かつ軽症や無症状が多く見られた。
■アラブ首長国連邦からの報告では、感染者の3分の2以上が救急車のスタッフを含む医療従事者だったが、重傷者は1名のみで、他は軽症または無症状だった。
■一部の症例の感染原因として、ラクダ乳の喫食および曝露が示唆された。

【臨床所見】

■軽症例から急性呼吸促迫症候群(ARDS)をきたす重症例まで見られる。
■典型的病像は、発熱、咳などから始まり急速に肺炎を発症し、しばし呼吸管理が必要となる。全症例の63.4%が重症化し、44.1%が肺炎を発症、ARDSの合併は12.4%に認められた。少なくとも3分の1は嘔吐、下痢などの消化器症状を呈した。

【疫学情報】

■潜伏期間は、中央値5.2日(95%信頼区間:1.9~14.7日)
■世代間隔(感染源の発祥から二次感染者の発祥までの期間)は、中央値7.6日(95%信頼区間:2.5~23.1日)
■二次感染者のデータでは潜伏期間は1~9日とされ、濃厚接触があっても病初期においては感染性が低い傾向が観察された。
■フランスではドバイから帰国し発症した1例と、その患者から院内感染した1例の計2例が報告されたが、本事例では下気道検体のウイルス量は高濃度だったのに対して上気道検体はほとんど検出されなかった。また潜伏期間は9~12日と推定される。
■2013年での感染例ではヒト:ヒト感染は持続的とならないと見られ、パンデミックの可能性は低いとみなされた。
■2013年にサウジアラビアで得られたウイルス株のゲノム解析をおこなったところ、4つのグレードに分類されることがわかったが、そのうちの3つはすでに消滅した。ただしのこる1グレードの継続が発生しており、診断されていない無症状者が感染を拡大させている可能性がある。
■上記1グレードの中でもそれぞれ3種類の異なるゲノムタイプのウイルスが認められた。したがって持続的なヒト:ヒト感染と言うよりは、それぞれが独立した動物由来の感染だと考えられる。

【リスクアセスメント】

■医療従事者における感染事例の多くは接触者調査で判明している。
■院内感染においても、無症状のものからMERS感染を疑わせる事例が報告されている。
■流行地域におけるラクダへの曝露はリスクと考えるべきである。
■限定的ではあるがヒト:ヒト感染があることに留意し、接触者調査を実施し感染拡大を防止することが重要である。
■MERSが疑われる段階から、標準予防策および飛沫予防策を徹底する必要がある。

(引用ここまで)


いちばん気になる点が潜伏期間なのだが、まだサンプルとなるデータが限定的なので幅が広い。
感染初期の段階では感染力が強くないとの情報も見られるが、どこまでなのかという話になれば現在韓国で得られている臨床データが貴重なものとなろう。

ただ、すでに韓国では三次感染が発生したというので、ウイルスは遺伝子変化をしているのではないだろうかとも考えられる。
また、韓国における最初の感染者と同じ病棟ながらも別室で接触もなかったひとが発症しているケースが見られるところから、空気感染するのではないかとする声が上がっているようだが、上記の情報を読むと無症状の医療者らが拡大させている可能性は否定できないだろうと思われる。

危機感をただ煽っているのではなく、きちんと準備すべき知識は手元に集めておくべきかと思う。



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