同じ会社が二度目の海難事故

このブログにおいて私は、12月11日付けで「また起きた韓国の海難事故」と題して、ベーリング海で操業していた韓国のスケトウダラ漁船(乗員60人)が沈没したことをご紹介しました。

しかし私は九州の長崎県が古里なので、漁船の沈没事故というものの鮮明な記憶があるんです。
それは1993年2月に起きた、金子漁業(長崎市)所属の巻き網船、第七蛭子丸の転覆事故のことです。
事故原因は漁具の積み過ぎによる復元力の低下と、漁網の固定方法が不適切だったことから、悪天候を受けて漁網が右舷側に滑り、傾斜が戻らなくなって転覆したというもの。
基本的には韓国のセウォル号と同じ原理だったわけです。
乗組員20人のうち19人が行方不明になった、長崎県内を揺るがした大事故だったのです。

会社側は、海底で漁網が船体にからみついているために引き揚げは技術的に困難であるという結論を出しました。
五島沖の東シナ海で沈没した第七蛭子丸は、19人の遺体を抱いたまま120mの海底で今も放置されています。
その所属会社が金子漁業だったということを覚えておいてください。

次へ進みます。
2009年4月14日、平戸島の先に橋でつながった生月島という町があり、そこの大栄水産(株)所属の巻き網漁船第十一大栄丸が沈没事故を起こしました。(同年9月に引き揚げ作業開始)
乗組員22人のうち、10人は仲間の船に救助されましたが船長を含めた12人が行方不明となりました。
前回の第七蛭子丸は80トン、この第十一大栄丸は135トンで、どちらもこの生月を母港としていました。
大栄水産(株)の社長は木川廣義氏で、いわゆる金子ファミリーの一員ではありませんが、生月の館浦漁協の組合長は金子源吉氏であり、当時の長崎県知事だった金子源二郎の実兄でした。
生月は漁業の町で、町民のほとんどが金子漁業に何らかの関わりを持ち、金子一族の影響下にあるとされていました。

本日(2014年12月24日)午前4時40分ごろ、島根県浜田市の沖合い約48kmの日本海で、舘浦漁協所属の巻き網漁船第一源福丸(135トン)が沈没し、20名の乗員中17人が救助され(内2名がその後死亡)3人が行方不明となっています。
船を保有する東洋漁業(長崎市)によると、獲れすぎた魚の重みで網を引き揚げる際にバランスを崩した可能性があるということです。

この東洋漁業という会社を掘り起こしてみましょう。
ニッスイグループである金子産業(株)のホームページによると、2005年に金子漁業(株)に養殖事業を加えた4事業体制で金子産業(株)とした、と出ています。
その後、関連の東洋漁業(株)から冷凍冷蔵事業を受け入れ、5事業体制を確立したのが2008年。
2012年には日本水産(株)の100%出資の子会社となっています。
すなわち長崎市に本拠地を置く東洋漁業(金子岩久社長)とは、過去に第七蛭子丸の転覆事故を起こした金子漁業が前身だったのです。
その会社が再び島根県沖で沈没事故を引き起こしたわけです。

遠洋巻き網の大手として東洋漁業は巻き網船団用の船を新造するなど、国の助成を積極的に利用してビジネスを展開して来ました。
長崎県の前知事は金子源二郎だったのですが、現在は参議院議員に納まっています。

(以下は2012年3月のJC-NETからの引用)

原二郎氏の背景にあるのが、金子一族が経営してきた金子漁業グループの力だったことは紛れもない事実なのだが、同グループは放漫経営が祟ったのか、2008年に「産業活力再生特別措置法」(産活法)の適用を申請し、国の支援を仰いで再建を目指さざるを得ない状況となっていた。
(中略)
東洋漁業など3社が産活法の適用を申請したのは、グループ全体の経営が悪化したことが最大の要因だ。そしてこの3社は、長崎県の水産界に君臨してきた金子漁業グループの中核企業だった。
確認のため、水産庁の発表内容を紹介しておきたい。

【認定計画の概要】
東洋漁業株式会社、兼井物産株式会社および金子産業株式会社(以下、「東洋漁業(株)等」という)から平成20年7月14日付けで農林水産省に提出され た「事業再構築計画」について、産業活力再生特別措置法第5条第7項の規定に基づき審査した結果、同法第2条第2項第1号に規定する事業の構造の変更及び 同項第2号に規定する事業革新を行なう者として同法で定める認定要件を満たすと認められたため、本年8月18日付けで事業再構築計画の認定を行なった。
今回認定した東洋漁業(株)等の事業再構築計画は、金融機関による債権放棄および債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)を行ない、過剰な有利子負債を削減し財務内容の健全化を図るものである。
また、事業分野においては、付加価値向上のためのマグロの畜養事業や消費者のニーズに合わせた加工を新たに行なうこと等により、売上高の安定的確保を図り、生産性の向上を目指すものである。
本件の認定により東洋漁業(株)等は、登録免許税の軽減及び資産評価損の損金算入の支援措置を受けることを予定している。

(引用ここまで)

早い話が、国民の税金がこの金子漁業グループに注ぎ込まれたということになるわけであって、そのグループの一族の一人が国会議員をしているという事実。これは見逃すわけには行かないでしょう。
「登録免許税の軽減及び資産評価損の損金算入の支援措置を受ける」という部分がそうなんです。
水産県長崎はこういう支配者一族で牛耳られているわけです。
そしてこの金子源二郎の娘が誰のもとに嫁いだか。
聞けばきっと皆さん噴き出すはずですよ。長崎県の公共土木工事の最大受注企業はどこか。調べれば国会議員の名前と共に簡単に出て来ます。
江戸時代じゃあるまいし、国会議員同士が息子と娘を結婚させたんですから、こりゃもうマンガのような話です。

そして上記の水産庁による【認定計画の概要】の部分で「金融機関による債権放棄」と出ていますね。
この具体的な金融機関とはいったいどこだったのでしょう。
巨額の不良債権を抱えて経営が困難になりつつあった、佐世保を拠点として北部九州に展開していた親和銀行のことです。
長崎に本拠地を構えていた金子グループは長崎市を拠点として展開していた十八銀行とのつながりが強い。知事選などでの協力も受けていた。そこで故意に親和へ打撃を与えた。
弱った親和は福岡銀行へ泣き付いた。福岡銀行グループの傘下に入れば、いかな十八銀行と言えどもそう簡単に手は出せなくなる。
ちなみに十八銀行という名称は、明治時代の十八番目の国立銀行だったということであって認可者は大隈重信。
では一番目はどこだったのかというと勧業銀行と合併して「第一勧銀」になった銀行のことです。だから宝くじの権利を持っている。
一方の親和銀行はと言うと、佐世保を中心とした中小の信用金庫などが次々と合併して巨大化したものであって、社風は非常に庶民的。
片や十八銀行は国立銀行だったというプライドがあるために、個人利用者よりも法人取り引きに力を入れる殿様商売の銀行。
両行は非常に対照的なんです。
長崎と佐世保の光と影が、少し見えて来たのではないですか?

年の瀬に、家族が荒海で行方不明になるなんて、想像しただけでも冷や汗が出て来そうです。




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