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台湾半導体産業の闇

台湾の総統選挙は予想通り民主進歩党の圧勝で終わった。それ以外の予想をしていた人は恐らくいるまい。

ただ、国民党から対立候補が出たことは事実であって、名前が災いしたと言いたがる人はあくまでも日本人の感覚。基本的に国民党と中国共産党は敵同士だったはずなのだが、台湾国民党は「一つの中国」を主張する共産党に同調していた。それで独立派である民主進歩党と対立する形で、中華人民共和国の経済圏に入る方が発展につながると主張したのが国民党。

この国民党には外省人と本省人の両方が在籍していた。ところが大陸の経済圏に入ろうとする外省人らと意見が合わなくなった本省人の党員が離党し新党を結成した。それらは「台湾団結連盟」と「時代力量」という団体。これらは民進党に協力して台湾独立同盟を結成した。蔡英文総統は、次期副総統に同じ民進党の頼清徳氏を指名した。この頼さんは蔡総統よりももっと独立志向が強い人物で、彼が総統候補になっていたとしても当選しただろうと言われている。つまり香港の騒ぎを見せられては、とてもじゃないが親中派に勝ち目はなかったことが見えて来る。

中華民国(台湾)の総統は任期4年で2選まで。3選は禁止されている。現在の蔡英文総統の就任日は2016年5月20日だったので、今年の5月20日から2期目に入る。それから4年間が最後となる。よって蔡さんと頼さんのコンビは台湾独立にまい進するはずであって、中国共産党は台湾の国民党と組んで独立阻止の圧力を強めて来ることになる。軍事的な圧力も含めて。そのことは中国も台湾も米国も十分過ぎるほどに理解しているのだが、日本政府だけは今後の方針について態度を明らかにしていない。自民党幹事長の二階が親中派だからだ。しかし、二階派の中でパチンコ業界とつながっていた秋元司議員が逮捕され、大手パチンコチェーンのガイアがガサ入れされた。この秋元さん、IR(カジノ・リゾート開発)問題にも関わっていた人物だった。接触したのは500ドットコムという幽霊会社。

マカオはGDPの8割がカジノによって成り立っていて、カジノのオーナーはすべて中国共産党政府になっている。カジノの経営と行政と暴力団の3つの役割を共産党政府が「1人3役」しているわけであって、二階の子飼い議員が中国系の幽霊会社と接触していた。

さらに、しきりと問題に取り上げられているギャンブル依存症のことだが、「顔認証システムを使って入場制限をすれば良い」という案が出て来ている。実はマカオのカジノでもこのシステムが導入されているのだが、目的はギャンブル依存症の防止などではない。マネーロンダリングの容疑者を特定するためだった。中国共産党におけるマネロンというのは、単純に麻薬などによって汚れた資金を洗浄するものではなく、共産党が主体となってカジノで儲けた資金を、個人資産として持ち出す「共産党幹部」のことを意味する。彼らはカジノで得た資金を国家に隠れて海外へ持ち出そうとする。それがマネロンなのである。

500ドットコムの筆頭株主とされているのが「紫光集団(しこうしゅうだん)」というグループ。紫光集団というのは中国政府がバックにある国営企業のようなもので、ファーウェイと同じようなもの。紫光集団はアメリカで複数の半導体メーカーを買収しようと画策していたがジョン・マケインに追い出されたファンド。そのヤバい系の紫光集団の副総裁に、日本人の坂本幸雄なる人物が着任したのが2019年11月のこと。

NECと日立製作所のDRAM事業統合によって1999年に設立されたのがエルピーダメモリという会社。日本政府の補助金も入っていた。そのエルピーダの社長だったのが坂本幸雄。坂本はエルピーダの社長を務めていた時期に、台湾のライトン社という半導体パッケージなどを手掛けていた企業の取締役もやっていた。坂本はエルピーダの子会社としてEBS社を創ってそこの社長にも着任し、中国の深センにある半導体関連企業の深圳記憶科技の株を取得した。深圳記憶科技という企業はファーウェイにメモリーを供給している会社。

エルピーダは台湾のウィンボンド・エレクトロニクスという半導体の設計・製造・販売をおこなう会社にDRAMの技術を移転させた。その結果、エルピーダと同等のスペックを持ったDRAMが世界市場に出荷されたことによって世界的なDRAMの価格破壊が起こるとともに、エルピーダの株価が急落してしまう。倒産寸前になったエルピーダは政策投資銀行から300億円の出資を受け100億円の借入もした。坂本は政策投資銀行から引き出した400億円を担保として、エルピーダのメインバンクから250億円を借り入れ、それまで取引がなかったりそな銀行にそのまま250億円を預け入れ、その足でエルピーダの会社更生法を申請に走る。日本国内におけるエルピーダの株券は紙くずになってしまう。

ただし、台湾にもエルピーダの株は上場されていた。預託証券という形で売買されていた株券は、りそな銀行に預け入れていた250億円で返済された。

坂本は日本ではもの凄く嫌われた人物だったが、台湾・中国では聖人君子のように尊敬されている。

坂本はエルピーダを倒産したものとして台湾へ売り払おうと画策した。それに気が付いたアメリカはエルピーダをマイクロンに買収させようとした。マイクロンがエルピーダを買収するための調印の3日前にマイクロンの当時の社長が飛行機事故で突然死。

話は戻るが、紫光集団のナンバー2として暗躍する坂本が500ドットコムを通して日本のIR議連に接近して来た。台湾の総統選挙の結果だけを見せられている我々日本人は、半導体ビジネスの裏の世界と密接につながっている事情を知らされなさ過ぎている。日本の半導体技術はエルピーダを潰すことによって中国の深圳や台湾に流れ、それがファーウェイへともたらされていた。これは中国と台湾のそれぞれの半導体関連企業が協力関係に立った上で同じ方向へ進もうとしていたことの表れであり、エルピーダに続いてパナソニックまで半導体事業から撤退せざるを得なくなった背景もそこにあった。

だから台湾の独立派が選挙に勝利したことで、流れがどう変わって来るか、習主席を本当に国賓として迎えるのか、IR疑惑は二階まで届くのか、日米台中の関係は新たなステージに立ったと見なければならないようだ。

東芝が持っていたのは高速メモリー技術。パナソニックが持っていたのは窒化ガリウム技術。これら半導体の先端技術は最新兵器のレーダーなどに欠かせないもの。THAADミサイルやステルス戦闘機のアクティブ・レーダーなどに使われる非常に重要な核心素材。

ファブレスと言って、工場を持たずに設計だけで受託生産をしてくれる相手を求めるアップル社のような企業があるが、設計そのものは発注者の知財だが、生産技術は受託した会社の物であるとする法律が台湾にはある。そこでTSMCなどの台湾の半導体メーカーが受託生産で得たノウハウを次々と中国に(ファーウェイ経由で)流出させていた。

台湾は「今日の香港、明日の台湾」などと言って悲劇の主人公のように装っているが、一方では産業面では米中貿易戦争のキーポイントを握っているのは台湾だとする自覚ももっていることになる。

(参考:深田萌絵、Will増刊号#116)



今日は一切韓国に触れなかったが、懐かしの『AEGISチャンネル』が復活したのでYouTubeで楽しんでください。あっちは彼に任せるわ。「また、お会いしましょ~」



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