民放のいちばん弱いところ

CM(コマーシャル)の「間引き」とは、クライアントと放送局(広告代理店を含む)が契約で取り決めたCMを、放送局が秘密裏にスキップして、料金だけを徴収する行為を指す。1997年に福岡放送でこの問題が発覚したのを皮切りに、その後、北陸放送と静岡第一テレビでもCM「間引き」事件が明らかになった。

博報堂事件のCM「間引き」事件を検証する上で、前提として把握しておかなければならない点は、日本の放送界が、1990年代後半のCM「間引き」事件を教訓として取った対策の中身である。この点を深く理解することにより、今回のCM「間引き」疑惑の異常な手口が見えてくる。

結論を先に言えば、日本の放送界は、CMにCMコード(10桁から構成されている)を付けることで、コンピュータを介在させてCMが本当に放送されたか否かを認証するシステムを導入したのだ。放送確認書にコンピュータが印字したCMコードが表示されていれば、CMが放送されたことを意味する。CMコードが非表示になっていれば、CMが放送されなかったことを意味する。

CMが放送されないケースの原因として考えられるのは、たとえばプロ野球中継の延長である。たとえば災害が発生して、特別番組が放送されたときである。

現在、日本の放送界が使っているCMコードに、人工的な手を加えることはできない。これは放送関係者の間では常識となっている。もちろん、CMにCMコードを付す業務形態が定着している。

事実、民間放送局をまとめる民放連は、CMコードが付されていないCMは受付けないよう会員社に徹底しているし、衛星放送協会も会員社に対してCMコードの使用を促して、CM「間引き」の防止を徹底している。

ところが今年に入ってから博報堂が仲介したアスカコーポレーションのCMが大量に「間引き」されていた疑惑が浮上しているのだ。そう判断できる根拠は、放送確認書に肝心のCMコードが表示されていないものが多数見つかったことである。本当に放送されていなければ、アスカは架空請求を受けたことになる。

このうちもっとも件数が多いのは、スーパーネットワークである。この放送局は、博報堂と深い関係にある。同社の株式の50%を博報堂が所有している。しかも、2014年9月に至っては、一気に100本のCMでCMコードが欠落している。

念のためにスーパーネットワークに対して、その理由を質問したところ、「民放連に加盟していないから」という答えが返ってきた。しかし、スーパーネットワークは、民放連と同様にCMコードの使用を会員社に徹底させている衛星放送協会に所属している。従って、「民放連に加盟していないから」CMコードは使わないという説明はおかしい。

(以上はMEDIA KOKUSYOというサイトの2016年7月30日の記事の引用である)

つまり民間放送というのは広告業で成り立っていて、電通なり博報堂なりの代理店を通してスポンサーとつながっている。これがなければ業態は成立しない。

しかし上記における「CM間引き」をやることは、注文を受けても商品を発送せずに代金請求だけやろうとする詐欺行為に相当する。1997年に福岡放送で露見したことが皮切りになっているという。残念ながら福岡という土地は詐欺が少なくない。それと関連するのかはわからないものの、テレビショッピングなどの通信販売の企業も本社を福岡に置いている例が少なくない。

詐欺と言えば立派な犯罪なのだが、実は放送業界にはCMを商品とする認識が浸透していない部分がある。つまりスポンサーや代理店から仕事を取って来る営業部と、番組などを作る制作部が完全に切り離されているためだ。

だからスポンサーのことはほとんど考慮せずに、製作費は湧き水のようにあると思い込んだ制作部が勝手な番組を作り、「それではスポンサーに顔向けができない」とする部分だけに営業部がクレームを出す。キューピーの提供なのに「マヨネーズは健康に悪い」とやってくれるな、と言うわけだ。

ところがマヨネーズではなく政権政党が対象であればどうだろう。政府からクレームが来れば「圧力だ」と反論することができることになる。だから有名な「椿事件」が起きた。「民意はメディアが作れば良い」という思い上がった風潮ができてしまった。

しかしクレームを出すのが一般市民になったらどうなるだろう。「なぜあんな番組を提供しているのか」とスポンサーにクレームが来ることになる。各企業の「お客様窓口」でも「代理店に任せてあるから番組制作までは関わっていない」と強気の返答をする会社もあるとか耳にしたが、それで商いが成り立つほど商売は簡単ではない。「買ってほしいが口は出すな」と言ってることと同じになる。

株主になって総会で意見を言おうという動きもあるが、本社が集中している東京・大阪でなければ総会出席は難しいし、持ち株会社(ホールディングス)という厚い壁がある。

安倍政権の支持率が何パーセントだなどと新聞各社が勝手なことを書いているが、本当に現政権を支持するのであれば、嫌いな番組のスポンサーにクレーム電話を掛けるくらいのことはやっても良いだろうと思う。

消費者を『舐めたらアカンぜよ!』



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