原発再稼働をチェックする

私はこのブログで、2014年7月30日分で「核のゴミは東京都が引き受けよ」と題する記事を書きました。
これは福島第一原発事故で周囲に放出された放射性物質の汚染土の行き場が見つからない問題に関してのことであって、使用済み燃料などといった高濃度の汚染物質を指しているものではありませんでした。

この記事の中で私は、こう書きました。
「使用済み燃料プールに余裕があって、活断層などの恐れもなく、しかも設備が十分に確保されていて耐用年数に余裕がある原発施設から徐々に再稼働すべきだ」と。
そうしなければアベノミクスによって円の為替レートが円安方向に傾き、発電用燃料の調達コストが増大することで電気料金が値上がりする。そうなれば中小零細の製造業はばたばたと倒産廃業を余儀なくされて大企業だけが生き残る社会になる。それは現在の韓国がサムスンとヒュンダイだけでどうにか持ちこたえている姿そのものになる、と。

原発を建設するにあたって政府は安全神話という詐欺的手法を使いましたが、東海村と柏崎刈羽と福島の事故でそれらが全くのウソであったことを国民は知ってしまいました。
安全なものではなく大変危険なものだった。しかしそれでも稼働させる必要も一方では確かにある。
だから最低限の再稼働を模索する意味で、危険度が最も少ない施設を選別しなければならない。
仮に、その条件に合致する施設が見当たらなければ、その時は潔く再稼働を諦めるしか道はないわけです。

「使用済み燃料プールに余裕があって」という項目について検証してみましょう。
2014年3月の時点で再稼働を申請している原発は、北海道の泊、宮城の女川、静岡の浜岡、新潟の柏崎刈羽、福井の高浜、同じく福井の大飯、島根の島根、愛媛の伊方、佐賀の玄海、そして鹿児島の川内、以上10施設で、合計17機の原子炉に相当します。
では燃料プールの余裕度をひとつひとつチェックして行きましょう。
まず北海道の泊ですが、1,000tのプール容量に対して現在までの貯蔵量が400t。つまり空き容量が600tです。これは再稼働申請施設の中で最大クラスでありキャパシティだけを取れば最も可能性がある施設だと言うことができます。ただ北海道電力ですからね。産業面での電力需要がどれだけあるかがカギになって来るでしょう。
次が宮城の女川。790tの容量に対して貯蔵量が420t。空き容量は370t。これもまぁまぁの数字ではあるものの、東北エリアだけに労働者不足などから来る復興の遅れがあり、電力需要が未知数だと考えられます。
静岡の浜岡を見てみましょう。1,740tの容量に対して貯蔵量は1,140t。空き容量は泊と同じ600t。東海地区なので産業電力の需要は高いと言えそうですが、ここは東海地震の危険性が指摘されている場所。
新潟の柏崎刈羽の場合、2,910tという国内最大のプール容量に対して、貯蔵量はすでに2,380tに達している。空き容量は530tと浜岡より少ない。最大消費地は東京なのですが再稼働させたとしても長くは動かせない。
福井の高浜を見てみます。1,730tの容量に対して貯蔵量は1,160t。残りキャパシティは570t。これまでの施設の中では優秀な方でしょう。ただし柏崎刈羽が再稼働を申請している2基の出力総数が約270万kWであるのに対して高浜の2基は合計でも174万kWでしかありません。
次は福島第一の事故後、最初に再稼働をおこなった福井の大飯です。ここは2,020tの容量に対して貯蔵量が1,430tです。残りキャパシティは590t。まぁまぁと言ったところ。しかも申請している2基が稼働した場合の発電量は236万kW。高浜とは比較にならないわけです。
中国電力の島根原発は話にならないようです。プール容量が600tで残りキャパシティが210t。再稼働したとしても生み出される電力は82万kWでしかない。しかも1基だけの運用だから定期検査の時期が来ると冷却水の循環のための電力を火力などで都合して来なければならなくなる。持ち出し分を考えれば再稼働する価値は低いと言わざるを得ないでしょう。
1基だけの再稼働という意味では女川も浜岡も同様であって、次に登場する四国の伊方原発も同じです。
伊方の容量は940tで空き容量は330t。再稼働したとしても発電量は89万kW。ここは海底に巨大断層があると指摘されています。列島構造線の上に原発を建設したこと自体が狂気の沙汰だったのです。
佐賀の玄海はどうでしょう。プール容量は1,070tであるのに対して残り容量はわずかに200t。仮に再稼働させたとしてもすぐに満杯になることは目に見えています。申請中の2基の発電総数は236万kW。福井の大飯と同じです。
最後は安倍首相のお墨付きを得た鹿児島の川内原発。ここは1,290tプールで残り容量が400t。1号機と2号機があって、その両方が再稼働を申請しています。ただし発電総数は178万kW。
青森の六ヶ所村再処理施設には3,000tの使用済み燃料プールがあるものの、現在までに98.16%が埋まっていて再処理も進んでいません。もんじゅが動かないのですから。

こうやって一つ一つを見て来ると、現実的に再稼働が近いのは福井の大飯のような気がします。ただし活断層などの条件は専門家でなければ判断できません。
そして仮にいくつかの原発施設が再稼働したとしても、近い将来にはやがて燃料プールが満杯になることは必至であって、もんじゅの稼働だけが頼りだとすれば、こんな無責任な計画をいったい誰が建てたのか、という責任論になるんです。
安倍首相が九州電力の川内原発を再稼働させようとしていることは、川内が産み出す電力で九州は持ちこたえると考えていると言うよりは、これを突破口として各地の原発の再稼働の道を拓こうとしているように見えます。
その第一歩には、地元が自民党の地盤であり、住民の反対が少なさそうで電力会社に恩を売った方が後の利益になる、といった政治的ソロバンが弾かれた結果だろうと思うのです。
何も強い抵抗が予想される改革派の土地である必要はないのですから。

規制委員会も言っているように、これ(川内原発再稼働)は安全だからどうこうといった判断ではなく、あくまでも政治的利害によるものだと言う点は把握しておく必要があるでしょう。
確認しておきたいのは、私は再稼働に無条件で反対しているのではありません。
再稼働にはそれなりの合理的理由があるべきだと申し上げているだけです。

福島で出た汚染土さえも処分地がみつからない状態で、使用済み燃料プールを満杯にさせると、近い将来にどんなことが起こるか、せめてそれくらいは考えておくべきだと申し上げているだけです。

私は原発の廃炉か再稼働かだけを考えているわけではありません。
メタンハイドレートを含めたあらゆる新技術を、同時並行で眺めています。
しかし地熱にせよハイドレートにせよ、原発利権に首まで浸かった政治家や学者や官僚らが必死の妨害を仕掛けて来ていることも知っています。
そうした汚物の上に原発再稼働という重要な案件を通すのであれば、それなりの合理性と説得性が必要だと考えています。

<加筆>

福井の大飯原発が再稼働に最も近いように見える、と書きました。
しかし安倍政権はそっぽを向いて鹿児島にすり寄ろうとしています。
なぜだろうかと考えた時、今年の4月におこなわれた京都府知事選で無所属の山田さんが4期目を果たしたということと、同じく7月におこなわれた滋賀県知事選で三日月氏が当選したこと。
三日月さんは民主党政権時代の閣僚だった人物で「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」に所属している人。
だからこそ滋賀県民の支持を集めたとも言えそうな人です。
そして大阪は言わずと知れた維新の会が占めている。
そんな土地柄に安倍さんが頭を下げに行くはずがありませんね。
九州電力であれば麻生太郎の影響力が利いている土地柄だから、選ぶべくして選ばれたのが川内だったというわけです。
だから繰り返し言っているじゃないですか。
再稼働施設の選択は科学的根拠によるものではなく、あくまでも政治的利害だと。

所詮安倍政権なんてそんなもんですよ。


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