役人が口を出すテーマパーク

長崎県佐世保市に『ハウステンボス』はある。

ここは針尾という名の島で、かつての地名を「東彼杵郡崎針尾村」といった。

佐世保は軍港として発展しており、真珠湾攻撃の際の「ニイタカヤマノボレ」という暗号電文は、この針尾島の送信所から打電されている。

現在も利用されている在日米軍の弾薬庫があるが、太平洋戦争の頃までに帝国海軍の戦艦や航空母艦などが停泊していたことから来ている。

敗戦後は大陸からの引き揚げ者の消毒のための援護局の仮収容所が作られて、帰国途中で命を落とした人のための供養地も建てられた。昭和25年で引き揚げ局が閉鎖されると跡地には陸上自衛隊針尾駐屯地が造られ、その後長崎県による埋め立て工事で針尾工業団地が造成された。

しかし行政が目論んだほど民間企業は集まらず、テーマパークで成功していた『長崎オランダ村』が『ハウステンボス』を創るとして県から土地を購入する。

しかし『ハウステンボス』の進出には長崎県との密接な癒着があったのであって、初代の『ハウステンボス』の経営陣の中にはかなりの「県からの天下り」がいた。県警や教育委員会なども含まれていた。私も当時工事業者として加わっていたから裏事情のことは知り尽くしている。

『ハウステンボス』は美術館や博物館としての高い価値をもって創られたが、あまりにも本格的すぎたことから入場料が高額になり、華々しく開園したものの年を追うごとに入場者は減って行った。オランダとの歴史的つながりを誇張したがった長崎県が建設計画に必要以上に口を出してきたからでもあった。

経営難に陥った「ハウステンボス」は、東京ディズニーリゾートの1.5倍という日本最大の敷地面積を持て余し、そこにメインバンクの統合合併による債務処理要求に遭って会社更生法の適用を申請した。初期投資の負債総額はざっと2、289億円。野村ファイナンスをスポンサーとする更生計画案が認可されたが、2008年のリーマンショックで野村も手を引くこととなる。2010年に旅行代理業のH.I.Sが経営再建に乗り出して現在に至っている。




なぜこんな話を持って来たかというと、豊洲新市場の移転計画に際して、小池都知事が築地の跡地を売却するのではなく『食のテーマパーク』を造るなどと寝ぼけたことを言い出したからだ。

役人が始めたテーマパークの行く末は『ハウステンボス』を見れば一目瞭然。絶対に大失敗をする。

経営のノウハウを持っているわけでもない都知事が軽々しく口にすれば、失敗した時の尻ぬぐいは全部都民や国民にふりかかって来ることになる。

政治家と軍人が起こした先の大戦で無辜の国民が大陸をさまよい、命からがら乗った引き揚げ船。その上陸場所が現在のハウステンボスであり、長崎県の役人のエゴによって倒産の危機に瀕した。

小池都知事は同じ過ちを繰り返そうとしている。

また安倍政権が推し進めようとしているカジノ・リゾート法案にしても民間にまる投げしなければ必ず失敗するが、霞が関の役人たちはまたぞろ「天下り先」に利用しようとするだろう。

こんな話、テレビのワイドショーでは聞けないよ。




皆さん、ご機嫌よう。






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