SATチームのパラベラム

以前から「5発入りの拳銃しか持たされていない警察」という言い方をしていたが、シージャック犯をライフルの狙撃銃で射殺したことはもちろん知っている。

三菱銀行の立てこもり事件では、犯人の狙撃にライフルの使用が検討されたが、ライフル銃弾(カートリッジ)は火薬量が多いので人質に被害が及ぶ恐れがあるとして、最終的にS&W社製の45口径拳銃が使用された。日本の警察はニューナンブ以外にもいろいろと持っていることは知っている。

各県警には機動隊という組織を持っていて、60年安保・70年安保などでは角材や鉄パイプを振り回す全学連・全共闘が相手だった。

ところが西ドイツで開かれた1972年のミュンヘンオリンピックで自動小銃で武装したテロリストによってイスラエル選手11名が殺害された。これを受けて日本の警察庁は都道府県警察に通達を出して「銃器等使用の重大突発事案」に対処すべく特殊部隊の編成を決定した。

しかし1977年9月、パリ発羽田行きの日航472便が日本赤軍によってハイジャックされ、バングラデシュの首都ダッカの国際空港に強制着陸させられるという事件が発生する。犯人グループは人質の身代金として600万ドルと日本で服役・拘留されている9名の釈放と日本赤軍への参加を要求。日本政府は10月1日に福田赳夫内閣総理大臣が「一人の生命は地球より重い」と述べて、身代金の支払いおよび超法規的措置として、収監メンバーなどの引き渡しを決断。指名された9名のうち3名が「赤軍とはイデオロギーがちがう」などとしてハイジャックグループへの合流を拒否。最終的に釈放された6名と身代金、食料などを持って当時の運輸政務次官だった石井一を団長としてダッカへ届けた。このことで日本政府がテロリストに対する姿勢が甘すぎるとして世界中から非難を受けることになる。

その翌月である1977年10月、ドイツのルフトハンザ航空機がパレスチナ解放人民戦線のメンバーによってハイジャックされた。ここでも犯人グループは身代金の要求と獄中メンバーの釈放を要求する。つまり日本の福田内閣の判断の誤りが間違った「成功体験」を与えたことが明らかとなる。と共に、犯人側の要求を飲めば世界から非難されるという学習効果を西ドイツ政府は見ていたはずだ。西ドイツ政府はミュンヘンオリンピック事件を教訓に創設した特殊部隊GSG-9(国境警備隊第9部隊)をハイジャックされた航空機内に突入させた。この突入によりGSG-9は犯人らを制圧し、人質となっていた乗員、乗客を無事救出した。

この対応の違いに圧倒された日本政府はGSG-9を参考にした対ハイジャック部隊の創設を検討することになる。

現在日本のSATは総員300名体制で警視庁、大阪府警察、北海道警察、千葉県警察、神奈川県警察、愛知県警察、福岡県警察、沖縄県警の各警備部に配置されている。このリストは以前のブログ記事でご紹介したことだが、日本海に面しているのは福岡県警だけだ。

装備される銃器は「H&K・USP」「SIG・SAUER P226R」「GLOCK19」「S&W・M3913」「H&K・P9S」などの自動拳銃が主だが、マシン・ピストルいわゆる機関拳銃というものがある。安全レバーの操作で「安全」「単発」「連発」が選択できる拳銃弾を発射する短機関銃のことだ。イランやアフガニスタンなどの広大な場所で戦闘をおこなうのではなく、市街地や建物の中あるいは飛行機の中などでで対テロ作戦をおこなおうとすれば、アサルト・ライフルよりもマシン・ピストルの方が使い勝手が良く人質などへの被害も少なくすることができる。

(以下は Wikipedia からの引用)

1950年代、ヘッケラー&コッホ(H&K)社は、ルートヴィヒ・フォルグリムラーがスペインで設計したセトメ・ライフルをもとに、ドイツ連邦軍(西ドイツ軍)向けに7.62x51mm NATO弾仕様の自動小銃を開発していた。1959年、これはG3として制式化された.

9x19mmパラベラム弾は比較的反動が弱い一方で、非常にフラットな弾道を示す特徴がある。この実包の優れた点は、小さく、多弾装化が容易であることと、製造するのに大した原料を必要としないところにある。
現在では世界で最も広く使用されている弾薬であり、民間でもこの弾を使用する小火器が広く使用されている。さらには第二次世界大戦以降、世界で使用されるサブマシンガン用弾薬の主流でもある。
パラベラムの名はラテン語の諺「Si Vis Pacem, Para Bellum」(平和を望むならば戦いに備えよ)に由来している。そしてこれはDWMのモットーでもあった。 価格は50発12ドル(2012ウォルマート調べ)。

G3では、モーゼル社が開発し、StG.45アサルトライフルに組み込んだのと同様のローラー遅延式ブローバック(ローラーロッキング)機構が採用されており、これは本銃(MP45)でも踏襲された。この方式では、圧力が低下してから閉鎖が解除されてボルトが開くことから、反動がマイルドで、軽量のボルトでも9x19mmパラベラム弾を安全に射撃できるようになったほか、ボルトを閉鎖した状態から撃発サイクルがスタートする、いわゆるクローズドボルト撃発となったこともあり、当時一般的だったシンプルブローバック方式・オープンボルト撃発の短機関銃と比して、命中精度が高いというメリットがあった.

命中精度については、100m以内の近距離射撃であれば狙撃銃にも匹敵するとされており、建物の角から目と銃口だけを覗かせるテロリストの眼球を射抜くことが可能とも称される。

現在では、H&K社の地元であるドイツのみならず、アメリカのNavy SEALs、デルタフォース、SWATをはじめ、イギリスのSAS、日本警察の特殊部隊(SAT)、銃器対策部隊、成田国際空港警備隊、原子力関連施設警戒隊、特殊犯捜査係、海上保安庁の特殊警備隊(SST)、海上自衛隊の特別警備隊(SBU)、香港のSDU、韓国のKNP-SWATなど、世界中の軍隊や警察に配備されており、1977年のルフトハンザ航空181便ハイジャック事件や1980年の駐英イラン大使館占拠事件では実戦で使用された。

(引用ここまで)

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フランスやイギリスのテロ事件で、武装警察や軍隊などが所持しているのはほとんどがこの短機関銃であってアメリカのM-16とかカラシニコフを携帯する警察はほとんどいない。

H&KのMP5シリーズにはSDという種類もある。このSDとは"Schalldämpfer"の略号で、ドイツ語でサプレッサーを意味する。いわゆる「サイレンサー」のことだ。テロリストなどに議会や放送局などを占拠された際を想定して発射音を抑える目的があると想像される。

日本のSATがSDを装備しているかどうかはわからないものの、そうした武装の警備課があるということを知っておきたい。ただし「300名11個班で9都道府県にだけ配備されている」という事実を、多いとするか少ないとするかは刻々と変化する世界情勢次第なのだろう。



とある深夜に空港近くの交通量の少ない道路を走っていた。民間空港だから深夜は最終便が終わった後で、ほとんど真っ暗で街路灯もない道だった。

すると脇道から右折して本線に合流した二台のバイクが、私のクルマの前に現れた。二台はバイクであるにも関わらず前後ではなく並行して走っている。道をふさがれた格好になった私はクラクションを鳴らして抗議した。

するとその二台のバイクはすぐに前後になって道を開けてくれたのだが、横を追い越す際に見ると、黒塗りのオフロードタイプで乗ってる人物も黒づくめ。そして何やら背負っている。

後で何かで読んだことがあった。「警察の特殊部隊にはバイクを使って空港周辺を警備する『黒バイ隊』と呼ばれる班がある」と。「Si Vis Pacem, Para Bellum」(平和を望むならば戦いに備えよ)ってか? 






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