君の名は

むかし、慰安旅行で訪れた温泉旅館の廊下で知らない女性から声をかけられた。

「○○クン、奇遇だね、元気だった?」

誰だっけ。

相手は旅館の浴衣に紺色のどてらを羽織っていて、湯上りらしく髪を頭頂部でまとめている。

「は? ええ・・・」

私の同僚たちはニヤニヤしながらわき腹をつついて来る。

「よせよ」

部屋に戻ってからみんなが聞いて来る。

「あの口ぶりからすると、かなり親密のようだが」

「思い出せないのさ、いや本当だよ」

「似たような年齢だから、同級生とか?」



相手は温泉でメイクを落としていたと見えてスッピンだった。しかし本人の記憶の中には私がいたのだろう。

とうとうどこの誰かはわからないままで終わってしまった。

今日になって、そんな出来事があったことを思い出した。

別にバレンタインデーとは関係ない。




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