「韓非子」を読む

韓非(かんぴ)という歴史上の人物がいる。韓国の韓という文字を用いるために、何か朝鮮族との関わりがあるかのような誤解を招いているが、朝鮮族からこのような人物が出るはずがない。

「韓(かん)」とは紀元前403年から同230年まで続いた戦国時代に存在した国のことで、現在の河南省北部や山西省南部にあたる地域である。

その韓の公子として紀元前280年前後に生れたのが韓非である。

韓は戦国時代にありながらも非常な弱小国であったことから、韓非は王に事あるごとに進言した。戦国時代末期になると春秋時代の弱小国は淘汰され七国が生き残る。これらの中でもっとも強大だったのが秦であり、ここから秦の始皇帝が登場する。

韓非の国「韓」は「秦」の隣国だったが、生き残った七国の中でもっとも弱小の国だったために、「秦」の属国同様の立場になり貢ぎ物や労役を献上するに至り、韓非は「韓」の王へ対して建言したものが今で言われるところの『韓非子(かんぴし)』である。

ところがこの『韓非子』を高く評価したのは「韓」の王ではなく、皮肉にも「秦」の始皇帝だった。『韓非子』という書物は全五十五篇、十余万言からできており、始皇帝を感激させたのはその中の「狐憤篇」だったとされている。

以下に紹介してみたい。

■「狐憤篇(こふんへん)」

法の力によって君主の元で正しい政治を実現しようとする者(法術の士)と、君主に気に入られ、多くの人を従えて、私利を図り王朝を害している臣下(当途の人)とは相容れない敵どうしである。しかし当途の人は、君主に気に入られており、君主と顔なじみであり、耳に気分のよいことだけを言い、身分が高く、子分を多く従えている。そのような相手に対して、君主のおぼえがなく、新参者で、耳の痛いことを口にし、身分が低く、味方のいない法術の士が勝てる見こみは、全く薄いのである。そしてこの力の差を以って、法術の士は身の危険にさらされる。当途の人は何か罪をでっちあげられるのならば、刑罰を利用して表から殺そうとし、それができなければ刺客を放って裏から殺そうとする。このような状況にあって、当途の人とそれにつきしたがって利益を得ようとする下の者たちが好き勝手にふるまい、有能な者や潔白な者が彼らにはばまれ、政治が腐って王朝をほろぼすのである。

(引用:Wikipediaより)

さらに興味深いのは第十五篇の「亡徴(ぼうちょう)」である。「~というような場合は政治が危うく国が滅びかねない」とする47条からなる文章から成っている。

ここではそのダイジェストを紹介したい。

■「亡徴篇」

・国は小さいのに臣の家が大きく、王の権力が弱くて臣の権力が強いのは危ない・王が法律を軽んじてはかりごとにばかり関心があり、国内を荒れさせる一方で友好国をあてにしているような状況は危ない・王が業績も調べずに爵位を与え、特定の一人の言うことだけで事を判断しているのは危ない・有力者の口ぞえがあればそれで役職につくことができ、賄賂で爵禄が得られる状況は危ない・王が志に欠け、決断力がなく、(政治を行うに)確固とした方針がないのは危ない・強情で諫言も聞かず、国を顧みず、正しいことかどうか考えずに軽々しく事を行って、自分はよいことをしたと思いこんでいる、そういう性格の人が王であると危ない・友好国をあてにして近くの他国を軽んじ、(自国より強大な)他国が助けてくれるとたかをくくって自国を圧迫してくる国を気にとめないような場合は危ない・大臣の間に二つの強い勢力があり、また君主の親族が力を持ち、国の内外の者と手を結んで勢力を争うような状況は危ない・王が個人的にかわいがっている者たちの言うことが政治に用いられ、国には悲しみ怨む者が多く、王がしばしば不法を行う状況は危ない・(王が)こうしたらいいという一存で取り決めをいじり、時に私的な都合が公に入りこみ、法律の内容が簡単に変わり、(内容のちがう)命令がたびたびくり返される、そのような状況は危ない・地形による守りがなく、城壁の質は悪く、蓄えもなく、財物も少なく、防御の用意もないのに他国を軽々しく攻撃するのは危ない。

(引用:Wikipediaより)

いかがだろうか、見事に現在の韓国のことを言い表しているようだが、紛れもなくこれは紀元前に書かれた書物だ。「韓」という弱小国が「秦」という強大な国の隣に位置していたことによる韓非の王に対する諫言だった。この「亡徴」(なくなる徴候)というのも暗示的である。

しかし一方で、この「亡徴」の中にはこんな下りもある。どこかの国の野党第一党のことを言っているようで、見逃せない。

「外国の出で、しかも家族などが外国にあるような者が政治に広くたずさわるのは危ない。」

耳が痛い人はいないだろうか。





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