勘定と感情

フィリピンのドゥテルテ大統領がアメリカ大統領のオバマに対して激しい口調で毒づいた。そこにはアメリカによって植民地化された歴史的背景があったことは前回の『日本人が習わなかった近代史』でご説明した。

そのドゥテルテが日本を訪問しようと計画すると、「先にこっちへ来い」というかたちで中国が折衝して来た。「フィリピンは日本より中国を優先している」と世界に示したかったわけだ。ところがドゥテルテがキンペーの前でポケット手を見せてガムを噛んだ。この行動が(フィリピンの)自国民へのメッセージだと指摘する向きがあるが、私はそうは思わない。あの行動は世界へ向けたメッセージだ。「対米感情がどうであれ、フィリピンは中国を重視してはいない」と示した格好になっている。フィリピンにとったら安全保障上の問題と同時に経済援助を取り付ける重要な課題を抱えている。

つまり中国は「感情」で、フィリピンは「勘定」で行動したということになる。計算が上手なのはどっちかということだ。

少なくとも中国の外交は黒星が続いている。



離党を口にした若狭議員に対して自民党幹事長の二階が激怒した。「離党というとんがった話をしょっちゅうするものではない」とマスコミに向けて二階は発言したが、これには二階自身が自民党を離党したという過去がからんでいる。小沢一郎の側近として自民党を飛び出し猫の目のように変化する新党を立ち上げた挙句に自由党になり、自自連立が成立した。この時の自由党の国対委員長を務めたのが二階だった。やがて小沢が出た後の自由党は保守党になり党首(扇)が辞退して自民党に吸収されるかたちで二階は自民党に復帰している。つまり離党の先輩でもあるわけだ。

若狭は弁護士であり法律家だから思考方法を論理的に組み立てるのだが、二階は政治家として情や腹技を使い分ける人物であってここでも「感情」と「勘定」がぶつかり合っている。若狭は「勘定(論理)」であり二階が「感情(腹芸)」である。



「感情」と「勘定」のぶつかり合いという意味では、東京オリンピック競技会場の建設にからんで綱引きを続ける小池と森の対立だが、どう見ても小池の方が「勘定」上手のようだ。さすが密室談合(五人組)で総理大臣になった男だけあって、森は何でもかんでも非公開で物事を進めようとしている。IOCのバッハとの会談も非公開だったし、今後の四者会談も非公開とされている。森がバッハを抱き込んでいることは明らかであり、JOCが不透明な資金を電通を通してペーパーカンパニーへ流したり、森とゼネコンの癒着だとか、神宮再開発などといったドロドロが次々と明らかにされている。「感情」で押し通すしかなくなっているのが今の森であり、冷静に「勘定」を組み立てているのは小池のように国民は見ている。

ひょっとすると若狭を非難する二階と、小池を非難する森はどこかで通じているのかも知れない。



アメリカ大統領選を戦うヒラリーとトランプは、どちらも悪口の応酬でアメリカ国民はうんざりしているらしい。これは「感情」対「感情」のぶつかり合いで理知的な匂いがまったくしない。

逆に安倍総理とプーチン大統領が会談すれば「勘定」対「勘定」になることは必至で、どちらが余計に土産を取れるかという駆け引きだが、日韓合意という一歩譲った汚点を持つ安倍のことはプーチンは百も承知のはずだから歩が悪いかも知れない。



他人事のような無責任に聞こえるかも知れないが、こうやって見回すと裏側が見えて来るから、世間っておもしろい。







スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR