問題のすり替え

露骨な『問題のすり替え』がおこなわれている。

「豊洲の地下空間は建築上の問題はなく、耐震性の面も安全だ」と日建設計の担当者が語ったが問題はそんなことではない。環境基準の4万3000倍というベンゼンが検出されたことで、専門家会議が盛り土を提言していたのに、いつの間にか勝手に変更されていたことが問題なのだ。地下空間が安全だ安全じゃないということが問題の本質ではない。焦点をすり替えようとする意志が働いている。

ここにはスーパーゼネコンと呼ばれる鹿島・大成・清水の大手3社が受注しているのだが、それぞれが単独受注しているわけではなく、共同企業体(ジョイントベンチャー=JV)として残りのスーパーゼネコンである大林や竹中も参加している。そして入札状況は、それぞれの工事に対して1社ずつしか応札しておらずその落札率は99%以上になっていたことが明らかになった。つまり発注者である東京都と入札業者のずぶずぶの癒着があるわけであって、そこに内田とか石原とかの名前が出ているが、実際には都庁の職員の天下り先確保という都民への裏切りがあったわけだ。そのサークルの中に日建設計も入っている。

こうした土木と建築の工事には、必ず竣工検査があって、豊洲市場のような大型プロジェクトの場合は数回の中間検査もあったはず。そのどれにも引っかからなかったということは、盛り土がされていない事実を発注者である都の人間も把握していたということであり、設計変更をどちらが言い出したにせよ工期の短縮や施工費の圧縮、あるいは余剰金の捻出などが計画されていたはず。

だから都庁の職員が抱く『すり替えたい』意識と、受注業者の『すり替えたい』意識とは共通していることになる。

「安全と安心はちがう」といった声があがっているが、この癒着のサークルの関係者が「安全」を主張すればするほど「安心」は遠のいてゆくことになる。富山の市議会じゃあるまいし、いくら自分の正当性を主張しても最終的には「ごめんなさい」と頭を下げるしかなくなって来る。

あくまでも問題なのは、専門家会議が提言した案がくつがえされたという一点なのである。そこを解明しなければ何の解決にもならない。「変更したけど安全だから問題はありませんよ」って、設計事務所が言うことではない。マンションの鉄筋を勝手に減らした設計事務所があったが、アレと本質的に変わっていない。




もうひとつの『すり替え』も東京で起きている。オリ・パラの競技施設の建設費が何倍にも膨れ上がっている。これもまたスーパー・ゼネコンがからんでいて、日建設計も無関係ではないだろう。

その意味では豊洲の問題と一蓮托生なのだが、ここには日本競技連盟とかIOCとかがからんでいる。元々は石原が作った新銀行東京の不良債権処理から始まった話なのだが、数百億の借金のために数兆円のカネが動く話に発展した。

「待った」をかけた小池新都知事に対して、来る者来る者がみんな「怒ってるんだぞ」「レガシーを残せ」と口にしている。ボート場にしろ水泳プールの観客席にせよ屋内競技場(有明アリーナ)にせよ巨額の建設費が動く話だから「宮城はダメだ、横浜はダメだ」と文句をつけている。終いには「ボート競技は韓国で」などというデマまで持ち出す愚か者が現れた。

長野冬季五輪が大成功だったとか口にする無知なおじさんもいたが、長野は負の遺産に今も苦しんでいる。スピードスケート会場(エムウェーブ)、アイスホッケー会場(ビッグハット)、フィギアスケート会場(ホワイトリンク)などの個別施設を新設した長野市はその後の維持費に自治体予算を注ぎ込んでいる。ジャンプ競技場もそうだし、アルペン競技以外でもボブスレーなどの施設も長野のお荷物になっているから韓国の平昌のボブスレーが長野に来るなどといったうわさまで飛び出した。

レガシーとはいったい何なのか、「負の遺産」という意味なのだろうか。ちがう、それは建設費に群がる昆虫のような連中の「レガシー(遺産)」なのである。そして大会後の維持費には税金が投入されることになって、かつて年金保養所が1000円で売却されたようなことになってゆく。

海の森とは良く付けた名前だ。組織委員長の苗字まで残そうとするのか、厚かましい。

飛行場のそばの海水で、横風が強く風力発電施設までがある場所に何百億もかけたところで誰も利用などするはずがない。大学関係者は「戸田に行く」とはっきり宣言している。

ボート競技はヨーロッパでは人気があるそうだが、そうであればヨーロッパ開催の時に言えば良い話であって、野球には関心がないから福島でやれってのは勝手な言い分すぎる。

だいいち、ボート競技は青空の下でやる競技だから欧米に中継されるのは深夜だ。ナイター・ボートなんかないからね。いくら人気があったとしても、どれだけ注目されることやら。つまり人気のあるなしではなく、建設費でひねり出した「毒まんじゅう」を食っている関係者がそれだけ多いということだ。

いわんや羽田空港を離発着するジェット機の轟音がそのまま世界中に発信されたとしたら、「そんな場所しか日本にはなかったのか」と非難されるに決まってる。つまり、誰も競技のことなんか考えていないということだ。カネさえ動けば後のことなど誰も考えていない。ここにもまた『すり替え』が見えて来る。

つまり東京都の巨額予算がゼネコンに注ぎ込まれる流れは、中央卸売市場においてもオリパラにおいても悪用されたわけであってそれぞれ個別の案件ではないという話。豊洲でケチがついたから、オリパラだけは絶対に当初の計画で押し通さなければならない事情の人間が無数に居るということだ。

「おじさんは怒っているんだよ」と言わざるを得ない人々の、打算の結果の騒動だ。これほどわかりやすい話もない。




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